あらすじ
高校二年。夏休み。職員室と進路相談室の往復。放置してる課題。夏、夏、夏。
いつも歩く廊下。通りがかる美術室。中にいたのはたった1人。
名前も思い出せないクラスメイトがたった1人。それはよく見るいつもの光景。
ではなかった。
飛び込んできたのは友人の絵。そしてそれを塗り潰そうとしている女の姿。
叫ぶ。いや、怒鳴った。何やってんだ!
その声は誰にも届かない。女以外には届かない。だから騒ぎになることはない。
震える女。その女を睨む俺。状況は理解する。嫌にでも理解する。
「お前、美術部辞めろ」
それが初めてだった。その言葉が、伊藤愛と初めて交わした言葉だった。
登場人物
明乃透(あけのとおる):高校2年生。美術科。
伊藤愛(いとう あい):高校2年生。美術科。
_______________