春が、来るまで。
2018/07/11
『春が、来るまで。』




佐倉始
霧島秋(アキ)
河野小百合
霧島涼子
九十九遥
永島亜子(ライブハウスのスタッフ)


  駅のすぐそばの大通りの一角で、始が一人佇む。
  始の手にはギターケースが握られている。
  始は通りに座り、ギターを弾こうとするも、上手く弾けず、恨めしそうに指を睨む。
  小さくため息を吐き、ギターをケースにしまおうとすると始の前にフードを被った少女が現れる。
アキ「あ、あの! 今日はもう終わりですか?」
始 「・・・・・・お客さん?」
アキ「えっ、あ、はい・・・・・・ファンです・・・・・・」
始 「俺はもう帰るから・・・・・・あの、どいてくれる?」
アキ「えっ、あ、はい・・・・・・」
  始が立ち上がり、歩こうとするも、アキはまだ動かない。
始 「あの、なに?」
アキ「あの! 明日もここでやってますか?」
始 「え、あ、あぁ」
アキ「ほんとですか! 良かったぁ・・・・・・明日も来ますねっ」
  アキはそそくさとはける。
始「・・・・・・あ、つい、明日もって・・・・・・まぁいっか」
  始、重たい足取りで右手をポケットへ入れ、下を向きながらはける。
翌日
  始がまた重たい足取りで通りの一角に来、見下ろす。
右手をちらりと見てからポケットへ。
  アキがゆっくり入り、始を見つけ寄る。
アキ「あっ、今日はもう終わりなんですか? 昨日よりも早く来たのに」
  始はアキをちらりと見るが視線をまた足元に戻す。
アキ「あの! もう終わりですか!?」
  始、アキに気付いて急いで帰ろうとする。
アキ「あっ! 待って待って!」
始 「・・・・・・っ、何だよ」
アキ「あのっ、今日は演奏しないんですか」
始 「今日はなしだ。帰る」
アキ「お願いです。一曲だけでいいんです。いやいやほんの少しのイントロだけでいいんです」
始 「終わったものは終わったんだ。いいからどいてくれ」
  始、アキを押しのけてはけようとするも、アキは阻む。
始 「何だよ」
アキ「ここで帰しちゃうともう来ない気がするので」
  始、図星を突かれた顔をする。
アキ「やっぱりそうなんですね。もう演奏しないんですね」
始 「いいだろ、別に」
アキ「いいえよくありません。私の言い分も聞いてもらいます」
始 「何だよ、めんどくせぇな」
  始、アキの隙をついてすり抜けようとするも、アキに阻まれる。
始 「はぁ・・・・・・いいよわかった聞いてやるよ」
アキ「はいっ。あのですね、私ずっと始さんのファンなんです」
始 「それはいいから、とりあえずそのポーズ止めてくれ。人が見てる」
  アキ、始をブロックするようなポーズを止める。
アキ「それでですね、ずっと始さんの音楽を聴いていて、私気付いたんです」
始 「ほう、何に?」
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