通り雨のあとに
「通り雨のあとに」

<登場人物>
佐倉(さくら):20代後半男性。それなりの一般会社勤務。マンションに一人暮らし。
ピザ屋:20代前半性別問わず。死神。
管理人:50代後半男性。(相原と同一人物だが回想と区別するため台本中では管理人と表記する。)
江本(えのもと):20代後半女性。一般会社勤務。
多田:気弱で、押され弱い。30代前半男性。運送会社勤務。
相原:管理人が、任命される前。回想で登場する。
前管理人:相原の前の管理人。50代男性。回想で登場する。
会社員:佐倉の回想で登場。人数、年齢、性別不定。

音響は、基本的には舞台袖で生音で作りたい。(雨音など)
スピーカーでないと厳しいものをSEやBGMなどで補った。

開幕

目覚ましの音。(ベルのやつがいい)
佐倉、止める
佐倉「ふわぁ〜あ。会社行かないとな。は〜あ…。にしてもさっきの夢、怖かったなー。」
佐倉、あたりを見回して
佐倉「ん?なんか暗いな?」
窓を開ける
佐倉「いつもはもうとっくに明るくなってるはずなのになぁ。おかしいな。」
佐倉、洗面など日常の動作、トイレに行くためハケる
チャイム音
佐倉「はいはーい」
佐倉、ドアを開ける
ピザ屋「お待たせしました。ピッツァパラダイスです!」
佐倉「えっと…?」
ピザ屋「ご注文の、粉チーズとごま練り甘納豆と炊き込みご飯の窯焼きピッツァです!」
佐倉「…はい?」
ピザ屋、男にピザを押し付けて帰ろうとする
ピザ屋「失礼致します!」
佐倉「あ、あの!」
ピザ屋「はい、何でしょうか!」
佐倉「…聞きたいことが多すぎる。…まず、君はなぜここに来たの?」
ピザ屋「お客様からご注文がありましたので…!」
佐倉「いやしてないんだけど…」
ピザ屋「そんなはずはございません!」
佐倉「いやしてないよ?てかこんな朝早くからピザ食べる人とかいる?」
ピザ屋「いらっしゃいます!それが!(男を指して)お客様です。」
佐倉「だから絶対違うって」
ピザ屋「ですから!そんなはずはございません!」
佐倉「かたくななんだな。」
ピザ屋「はい!」
佐倉「はぁ。分かったよ。で、いくら?」
ピザ屋「結構です!」
佐倉「…はい?」
ピザ屋「お客様は、当店のちょうど378人目のお客様ですから!タダです!」
佐倉「はぁ!?…ちょうどの意味もわからないし、そもそもお客さん少なくない?オープンからどんくらい経ってんのか知らないけどそれで大丈夫?」

佐倉「いや何の間だよ!!なんか言えよ」
ピザ屋「お客様は神様です」
佐倉「徹底された社員教育」
ピザ屋「では、失礼致します!」
ピザ屋、戸を閉めて全速力で走り去っていく
佐倉「あっ!ちょっ!!」
佐倉、ドアを開けるもそこにはピザ屋の姿はない。
佐倉「はえーーなぁ…」
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