Hell-Met
登場人物
 安藤:男。舞台となる部屋の主。柏木と協力し城田をだます計画を立てる。
 柏木:男。安藤に呼ばれて、城田をだますのに協力する。
 城田:男。人付き合いが苦手な方な真面目な人。

本編
(安藤、部屋の中で手持無沙汰に柏木を待っていると、呼び鈴が鳴る)

安藤「はーい。お、お前か。上がってよ」
柏木「おじゃましまーす」

(二人、座りつつ話をする)

安藤「着く前に連絡ぐらいくれよ」
柏木「あぁ。悪い悪い。スマホの電源落ちちまってよ」
安藤「なるほど。じゃぁ充電する?」
柏木「俺エクスペリアだぜ」
安藤「しまった。俺リンゴちゃんだわ」
柏木「ま、帰ってから充電するからいいさ。それで、なんでまた今日は俺とあいつを呼んだんだ?」
安藤「ふふふっ……。こんな話を知ってるか」
柏木「知ってる」
安藤「そうか。さすが親友。と、いうことは俺の考えも」
柏木「あぁ、わかってる」
安藤「なら話が早い。さっそく準備しよう」

(安藤、立ち上がる)

柏木「待った待った。俺が悪かった」
安藤「え?何が」
柏木「さっきの話。お前が何を話そうとしていたのか全く分かりませんでした」
安藤「えー、なんだよ親友。そりゃないよ」
柏木「悪かった」
安藤「ま、いいけどさ。……こんな話を知ってるか」
柏木「どんな話だ?」
安藤「殺人鬼ヘルメットの話だよ」
柏木「あぁ、最近ここいらで話題になっているやつか。確か、フルフェイスのヘルメットをかぶったバイク乗りばかり狙ってる」
安藤「そう、それそれ。ついたあだ名はヘルメット。地獄のメットなんて怖いよなぁ」
柏木「それがどうかしたのか」
安藤「今から、俺はそいつになる」
柏木「……。おーけー。じゃぁ俺は警察に通報するぜ。ここに犯人がいます」
安藤「そういう意味じゃないよ。なりきるのさ」
柏木「なりきる?なんでまた」
安藤「城田の野郎をだますんだよ」
柏木「だます?」
安藤「そ。ほれ、城田の野郎、あんまり人と話さないだろ? 真面目にいつも勉強ばっかしてさ。部長面でさ。あいつの澄ました澄まし顔が恐怖に歪むのを見てみたいんだよ」
柏木「澄ました澄まし顔って、被ってるからな」
安藤「細かいこたぁいいんだよ。で、奴を驚かすために、俺はある計画を立てた」
柏木「それが、殺人鬼Hell-Metになりすますってこと? あいつを殺そうとして、途中でやめて」
安藤「実は、ドッキリでした〜。ほれ、なかなか面白そうだろ」
柏木「そうかねぇ。まぁ暇つぶしぐらいにはなるだろうけど」

(安藤、フルフェイスのヘルメットを持ってくる)

安藤「ババン! どうよ。最後は俺がこいつを被って出てきて、ウワーーッッ」
柏木「いや、それだとお前が殺される側だろ」
安藤「いいんだよ。要はインパクトさ。普通にナイフ持って登場とかより、インパクトあるじゃん」
柏木「まぁな。……。しかし乗り気しないなぁ」
安藤「なんでだよ。暇ぐらいつぶそうよ」
柏木「止めといた方がいいと思うぜ。Hell-Metさんだって、自分のマネされたらいい気しないだろうし」
安藤「なぜにお前は殺人鬼に気を使ってるんだよ」
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