太陽系ひとりぼっち
太陽系ひとりぼっち
伊丹 鉄塔  作


【登場人物】

・工藤 ライカ(くどう らいか)
・先生(せんせい)

【次第】
1:太陽系はまっくろけ
2:月は果たして金か銀か
3:群青より深く、空より高く
4:BABY BLUE
5:真っ赤な嘘
6:極彩の命
7:わたしの涙は宇宙桜色

【本文】

1:太陽系はまっくろけ

舞台、舞台左右の余白を埋めるように袖幕が伸びている。
または、照明が舞台中央のみを照らす。
まるで外側が暗い宇宙空間のように……

音楽『ペイパー・ムーン』(大橋純子)

照明、ゆっくりフェードイン

舞台、台と椅子。台の上にはパソコンやプリンターにプロジェクター、卓上ライトやマイクロフォン、携帯電話、
ペットボトル水、あと分厚い本やら書類から生活雑貨等々がごちゃっと置いてある。
また、窓枠のようなものが吊り下げられている。
椅子にはヘッドフォンを着けた少女『工藤ライカ』が座っている。手には数枚の原稿。
台にはぬいぐるみ型アンドロイド(パペットぬいぐるみ)がパソコンで作業をしている。

ライカ:今週も始まりました、太陽系24局ネットでお送りしております『工藤ライカのジェットドリーマー』のお時間です。
     お相手は私、地球出身の工藤ライカです。今日は特別版という事で、生放送でお届けしてます。
     はい、今ちょうど月の周りを飛んでいるんですけど、観光客かな、赤に黄色に青に水色、様々な色の宇宙船が
     集まっているんですよね。ビニールドームの隣なんですけど。
     あそこが駐車場かな。すっごい数ですよ。そういえば私、前の前の放送では月面のクレーター公園で
      公開収録をしたんですけど、集まってくださった方々がほぼほぼ観光客だったんですよね。
     皆さんノリが良くってすごく楽しかったです。うん。
     本当に貴重な体験でした。有難うございました。また呼んでくださいね。

パペットぬいぐるみ、ライカに向かって腕をクルクル回す。
「巻け(時間が迫っているので早く次のコーナーへ行きなさい)」という意味。

ライカ:さて、前回までは『灼熱の水星・音楽スペシャル』と題してお送りしてきたのですが、今回から4回目の放送までは
    『文明の惑星・地球の名曲集』ということで、地球の音楽をメインにご紹介していきます。
    地球には様々な大陸があって、大陸ごとに様々な文化があるんですよ。私は地球にある本当に小さい島から来たんです。
    『日本』っていうんですけどね、その日本の中でもいろんな文化があるんです。
    食べるものも言葉も全然違うんです、不思議ですよね。おんなじ島に住んでいるのに。
    何でここで日本の話をするのかって言いますと……あっ、CMの後にお話ししますね。
    ステイチューン、チャンネルはそのままで。

ぬいぐるみ、パソコンを操作。
音響、ラジオコマーシャルが流れる。
ライカ、ラジオコマーシャルが流れる中でパペットぬいぐるみに話しかける。

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