さよならサリー
人物
夢の島サリー(24)  本名飯島さゆり。ベテラン地下アイドル。
武村美緒  (29)  サリーのマネージャー。通称おたけちゃん。




       音楽。明転。舞台中央でセーラー服姿のサリーが踊る。
       曲が終わり、踊り終わると拍手のSE

サリー  「ありがとー!」

       暗転。
       SE・携帯電話の着信音。
       明転。サリーの部屋。引越し当日。段ボールがいくつか積まれている。
       中央にはテーブルと椅子。テーブルの上には携帯電話。
       やがて携帯電話は留守電に切り替わる。

母(声のみ)「もしもし。お母さんだけど。あんた今日帰ってくるんだよね?何時くらいにこっち着くの?早く帰ってくるなら晩御飯用意しておくから。あ、電車で帰って来るなら迎えに行くからね。とにかく一度連絡しなさい」

       留守電終わる。直後、サリーが登場。部屋着姿。歩きながら一度あくび。携帯の着信に気付き、電話を取る。

サリー  「もしもし。ん?留守電は聞いてない。うん。うん。帰るよ。時間はね、まあそんなに遅くはならない。うん。じゃあそれで。多分バスかな。うん。鹿嶋で降りるから。はいはい。じゃあまた連絡しまーす」

       電話切る。サリー、テーブルを見て

サリー 「これ、ばらさなくても入るかな」

       SE・電話の着信音

サリー 「もしもし。はい、今日引越しです。いや、別にあなたのためではないので。はい・・・まあ、大丈夫だと思いますよ・・・すいませんけど、もうすぐ引越し屋来る時間なんで。まあ、何かあったらメッセージ入れといてください。はい、それじゃ」

       電話切る。
SE・インターフォン

サリー  「・・・」

       SE・インターフォン(連打)

サリー  「はいはい、なによまったく」

        サリー、去る。

武村   (声のみ)「サリーちゃん!」
サリー  (声のみ)「おたけちゃん?」
武村   (声のみ)「良かった!まだいた!サリーちゃん、サリーちゃあん!」
サリー  (声のみ)「ちょっと。暑苦しい」

        サリー、戻ってくる。後について登場するのはそのマネージャーの武村
美緒。泣いている。

サリー  「あのさ。いきなり押しかけて号泣するのやめてくれる?」
武村   「だ、だって。さり、さりーちゃんが、さりーちゃんがあああ・・」
サリー  「・・・誰に聞いたの?」
武村   「・・・社長」
サリー  「・・・あんのクソジジイ。口が軽いんだよなあ」
武村   「・・・おかしい・・・おかしいよサリーちゃん!」
サリー  「何が?」
武村   「なんでマネージャーの私に隠すの?」
サリー  「ああ、引越しのこと?私がどこに住もうが自由でしょ」
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