霧笛の音が聞こえたら。
■タイトル:霧笛の音が聞こえたら。  作:つむぎ日向


■登場人物

・朝日奈 卓(アサヒナ スグル):男。三十歳。俳優。

・黒部 欽二(クロベ キンジ):男。三十歳(当時)。実業家。1958年生まれ。

・三崎 志保(ミサキ シホ):女。二五歳。雑誌記者。


・星野 幹也(ホシノ ミキヤ):男。二八歳。朝日奈のマネージャー。

・横山 真奈(ヨコヤマ マナ):女。三二歳。役所職員。

その他(兼ね役可)

・団員1:男。朝日奈主宰の劇中劇キャスト。
・団員2:女。朝日奈主宰の劇中劇キャスト。
・兄役 :男女不問。小劇場「テアトル・ネーベルホルン」閉館公演キャスト。
・妹役 :男女不問。小劇場「テアトル・ネーベルホルン」閉館公演キャスト。
・上司役:男女不問。小劇場「テアトル・ネーベルホルン」閉館公演キャスト。
・劇団員:男女不問。小劇場「テアトル・ネーベルホルン」閉館公演キャスト。



■あらすじ

  公演中の事故でトラウマを抱え、挫折した俳優がいた。彼はある日、差出人不明の手紙を受け取り、そこにあった小劇場に向かう。
  するとそこで、彼はおかしな男と出会うのだった……。




■本編

プロローグ

    開幕。
    劇中劇。本編よりも三年前。公演が始まる。(登場人物はそれぞれの役を演じている。)

    悩める若者達が強盗を企てながらも、それぞれの悩みと戦っていく。というストーリー。
    主演は朝日奈卓。 その冒頭シーンから始まる。

    暗闇の中、開演のブザーが鳴り響く。
    明転。
    黒い服を着た三人の男女が居る。(中央に朝日奈、上手奥に劇団員1、下手奥に劇団員2)

    場所は屋外(公園のような場所)。時間は夜(劇中劇の設定)。
    朝日奈は中央の椅子に腰かけている。
    劇団員1は小さな紙袋を持っている。中には拳銃(小道具)が入っている。
    空を見上げ、手を上に伸ばしながら、ゆっくりと台詞を話し出す朝日奈。

朝日奈「なぁ、知ってるか?流れ星って、指先ぐらいのサイズなんだってよ」

    周りの誰も答えず、俯き悩んでいるように見える。
    朝日奈は一瞥する事もなく、調子を変えずに話す。

朝日奈「おかしな話だよな……そんな小さな物に、願いを懸けるなんてさ」
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