砂糖が溶けたら

砂糖が溶けたら

桃果(ももか)
スイート



雨の夜。
アパートの一室で暮らしている桃果。
突然、雷鳴。
びっくりする桃果。

桃果   近かったなあ…

突然、窓の外から「痛ーい!」という女の子(スイート)の叫び声。
びっくりする桃果。
怒っているような泣いているような女の子の声が止むことなく聞こえてくる。
窓を開けて、外を見渡す桃果。
女の子を見つける。

桃果   あの、大丈夫ですか?

女の子も桃果に気がついたようで、「よかった、助けて!」と元気な声で返す。
賑やかい。

桃果   あ、えっと。ちょっと待ってください。すぐ行くんで

桃果が部屋を出て行く。
しばらくして、桃果と女の子が戻ってくる。

スイート  ああ!助かった!
桃果   大丈夫ですか?あ、よかったら座ってください。タオル持ってきますね
スイート  嬉しい!もうずぶ濡れなの

桃果、タオルを持ってきてスイートに手渡す。

桃果   どうぞ
スイート  ありがとう。あなたいい人ね。名前は?
桃果   桃果です
スイート  桃果ね。いい名前。私はプリンセス・スイート!
桃果   え?プリンセス?スイ、ス、ス…?
スイート  気軽にスーちゃんって呼んでね
桃果   えっと、お姫様なんですか?
スイート  そうよ
桃果   本物?
スイート  もちろん
桃果   初めて会いました。本物のお姫様って
スイート  あら、そうなの?この国にはお姫様はいないの?
桃果   いないですね…
スイート  へえ、不思議ね
桃果   なにか飲みますか?コーヒーでもいいですか?
スイート  コーヒー?

桃果、コーヒーを注いでくる。

桃果   どうぞ
スイート  これが、コーヒー?
桃果   はい。コーヒー、飲んだことないですか?
スイート  ええ。私の国にはなかったわ
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