あらすじ
ある日のこと。
びしょ濡れになった一匹のオオカミが森の中をとぼとぼと歩いていました。
オオカミは悔しそうにつぶやきました。
「オレ様としたことが・・・。
7匹の子ヤギどもの最後の一匹を見逃してしまうとは。
一人残らず食っちまっていたら、こんな無様なことにはならなかったのに。
それにしてもあのヤギの母親ときたら。
随分と手荒なことをしてくれたもんだ。
オレ様の腹を切り裂いて石を詰め込むとは・・・。
もう少しで・・・、本当にもう少しでオレ様は池の中で溺れ死ぬところだった。
いやぁ〜、助かった〜、ヤギの母親の縫い方が雑だったからなぁ〜、
水の中で糸がプチプチと切れてよぉ〜、石は腹のなかから出て行っちまって・・・。
おおー、神よ〜。神様よ。
オレ様を助けてくださってありがとう。お〜、神よ。」
オオカミはぶつぶつとつぶやき、そしてよろめきながら森の奥へと歩いて行きました。