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巨人のペット

○
新井
加藤
牧野
理恵

○
　　草木が生い茂る広場。
　　日当たりが良い。
　　が、鳥や動物の鳴き声などは一切聞こえない。
　　何故か箪笥や本棚、ＴＶなど家具一式が揃っ
　　ている。
　　それらはそこに整理整頓されて置かれている
　　のではなく、無造作に置かれているように思
　　える。
　　またそれぞれにツルが巻きついている。
　　それらの家具一式は偽物というか、作り物と
　　いうか、とにかく外見だけ家具の飾り物であ
　　る。
　　テーブルがあり、周りに椅子が３つ、無造作
　　に置かれている。
　　傍らに長椅子が置いてあり寝転がっている加
　　藤、寝ようとしているが蒸し暑く寝付けない
　　でいる。
　　上手の奥には同じ部屋がもう一つあるらしい。
　　同じく下手が寝室になっている。
　　ここは、巨大な虫かごの中。
　　虫かごというか、人が入れられているので人
　　かごというのかも知れない。
　　窓際の日当たりの良い場所に置いておけばよ
　　いという、安易な思惑のせいで、人かごの中
　　は蒸している。
　　舞台奥が窓になっている。
　　外に見えるのはどこかの山の風景。
　　舞台正面、客席の方に巨人が生活している。
　　
　　しばらくして静かな空間に、音楽が鳴り出す。
　　どこの国の音楽なのか分からないが、とにか
　　く暗くは無い。明るく、コミカルな音楽が望
　　ましい。
　　上手から理恵が来る。
　　続いて牧野。
　　
理恵　暑いね、こっちも、やっぱり。
牧野　暑いですね。
理恵　（加藤を見て）寝てるよ。加藤さん。
牧野　ほんとだ。
理恵　よく寝るね、暑いのに。
牧野　それくらいしかないですからね。
理恵　飽きちゃった。神経衰弱。
牧野　すみません。
理恵　いやいや、謝らなくてもいいんだけど。
牧野　えぇ・・・。
理恵　勝てないし・・・覚えられないんだよ
　　ね、昔から。
牧野　そのわりに、あればっかりですよね。
理恵　めくる楽しみ？　裏返ってるの、めく
　　る、楽しみだよね。あんまり覚える気無いし。
牧野　覚えましょうよ。
理恵　面倒だよね。

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