あらすじ
『殺人許可法』
殺人を犯した者は、その数が一人までの場合、その罪を免除する。
殺人発生件数が世界第一位のこの街で、世間を仰天させる法律が制定された。発案者は、新市長の我門栄達。
もとは売れない芸人であった。素人イジリの芸で人気を博し、人身を動かす術を知った栄達は、勢い市長選に参加。
治安回復を公約に、市長の座を射止めたのである。
「殺人を免除された者は、今度は殺された人間の親しい者に殺される可能性がある。自由民主主義国家において、殺人も自己責任においてなされるべきである」
『殺人許可法』が制定されて一年。この街には殺人が一件も起こらなかった・・・。
犯罪抑制。死刑制度。民主主義の落とし穴。そしてその先に、最大の殺人者の顔が浮かび上がる。
現代社会の問題をシニカルに描いた社会派コメディ。
そして、冷たい平和を手にしたこの街に、一発の銃声が響き渡った・・・。