禁忌
〜人間になりたかった天使〜
禁忌
〜人間になりたかった天使〜

作:水月あかり


登場人物
結羽(ゆいは/天使見習い)
大崎真緒(おおさきまお/高校一年・三年)

(声のみ)
裁判官(天界の裁判官=天使)
ルシエル(上級天使・結羽の指導員)
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一、禁忌

     消防車のサイレン
     幕が上がると舞台上は火の海
     逃げ惑う人々の声
     結羽、現れる
     結羽の背中には羽がある
     それは炎に焦がされ、所々黒くなっている
     結羽、空に手をかざす
     辺りが薄暗くなり、雨が降り始める
     次第に弱まる炎
     悲しそうな表情の結羽

結羽 (口パクで)……真緒、さようなら。

     暗転


二、裁判

裁判官(声) これより天使見習い・結羽の裁判を始める。結羽、前へ。

     結羽にスポットが当たる

裁判官 結羽、自分の罪は分かっているな。
結羽 ……はい。
裁判官 最悪の場合、お前の存在を消滅させなければならない程のことだと、分かっているな?
結羽 はい。覚悟の上での行動でした。
裁判官 何があったのか、最初から、自ら告白せよ。神様は全てを知っておられます。真実を包み隠さず、話しなさい。


三、高校

結羽 ……私は、天使見習いとしては落ちこぼれでした。力も上手く扱えず、人間たちの心を読み取る力も弱く、失敗ばかりでした。
   そんな時、私の指導員である上級天使のルシエル様から修行の一環として、人間界で生活することを命じられました。

     結羽、去る
     ルシエルの声が聞こえてくる

ルシエル(声) 結羽、君は自分のことでいっぱいいっぱいになりすぎているんだよ。そんなんじゃ、いつまで経っても一人前になれないぞ。
       もっと人間界のことを学んで、人間のことを知りなさい。
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