『推理小説家殺人事件』
『推理小説家殺人事件』 4人芝居

【人物名の読み方】
武庫川散歩=むこがわさんぽ
田丸=たまる
小木曽=おぎそ
井関=いせき

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■4人のシルエット。
刑事「何なんですかね、何なんですかね、何なんですかね、」
他「この状況!!?」
刑事「偉大な推理小説家《武庫川散歩》氏が、殺されました」
他「殺された!」
刑事「犯人はこの中にいます」
他「犯人はこの中にいる!」
■一人ずつ浮かび上がる。
刑事「ここは人里離れた山小屋。現場はすぐ隣の、散歩氏の書斎です」
田丸「現場は密室、ではない」
小木曽「ハサミで胸を、刺しただけ」
井関「誰のアリバイも、ない」
■動き出す刑事。
刑事「トリックが複雑であればあるほど、そこに、何らかの痕跡が残るはずです。
  それを糸口に犯人を探り当てる。それが推理の醍醐味です。
  ですが、」
他「何のトリックもない、」
刑事「何の糸口もない。現実は全然、推理小説じゃない。
  だから、ただ皆さんの告白を待つだけです。
  自分が散歩氏を殺したのだと、名乗り出て下さい!」
■3人が同時に手を挙げる。
3人「はい!」
■お互い驚いて見合わせる。
全員「え?」
■睨み合って、
刑事「あの・・・犯人は誰ですか?」
3人「はい!」
■睨み合って。
田丸「私が殺した」
小木曽「私が犯人です!」
井関「すみません、私ですー!」
田丸「私だ!私しかありえない!」
皆「私だ私だ私だわ!」
■皆が手をあげる。争い出す。殺気立っていく。
刑事「ストーップ!皆さん落ち着いて!
  意味分かってますか? 誰が散歩氏を殺したのかと聞いてるんです。
3人「私だ!(です!)」
■3人が殺し屋の目で刑事を見る。
刑事「あなた達3人で!? だとすると今、私が危ない」
他「違う違う」
刑事「あ、そう?」
■逃げようとした刑事がもとの位置に戻る。
田丸「私が一人で殺したんだ」
小木曽「私の単独犯行です!」
井関「違います、私です!」
皆「私だ私だ私だわ!」
刑事「待って!待ーーって!ッ!!」
  共謀してないのはよく判りましたよ、皆さん、仲悪そうなので」
他「正解」
刑事「困ったな・・・。何ですか、この状況!?犯人が見つからない事件はあっても、犯人だらけ
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