テロメラーゼ
.テロメラーゼ 第4稿
テロメラーゼ

         
         作:山上物語産業
.登場人物
登場人物&舞台背景

●少女/浦島七海(ウラシマナナミ18歳)
テロメアーゼ研究施設、”竜宮城”主任研究員、浦島八雲の娘。父母の顔を知らず、祖父母に育てられた。生まれつき病弱で、余命数年と言われている。父の死の知らせを聞いて、父の仕事や想いを知るために竜宮城へ向かった。カメラが趣味。

●女将/船橋鯛子(フナバシタイコ76歳 見た目高校1年生)
 見た目は高校生だが、れっきとした76歳。竜宮城に来るまでは、料亭の女将としてバリバリと働いていた。20年前、施設開設時の初期メンバー。過去、娘の良子がいたが、良子は18歳で病気を患い、天国へ行った。その時に、娘の分まで長生きすると誓ってからは、そのことを一番の目標に置いている。七海に娘の姿を重ね、よく面倒を見ている。

●社長/金目間八(キンメカンパチ85歳 見た目高校2年生)
 大会社の社長。社長であることが誇りであり、生きがいだったため、竜宮城に来てもまだその思い出を忘れられないでいる。携帯で社員に命令できるらしいが、つながっているところを誰も見たことがない。関西出身。女将と同じ施設開設時の初期メンバー。

●兵士/鮫島みずち(サメジマミズチ45歳 見た目高校1年生)/
 身体能力が高く、様々な警護の仕事をこなしていた。しかし、戦友の死を目の前で見てから、死が怖くなり、永遠の命という言葉に乗ってここへ来た。施設開設時の初期メンバー。施設の閉鎖を受けて、本部へ直接直訴するために、施設脱出を図ろうとしているが、いつもセキュリティシステムに阻止されている。。

●研究員/亀田乙姫(38歳 見た目高校1年生)
浦島主任がいなくなってから、竜宮城の実質的な管理を担っているテロメア再生研究員。また、医師でもある。基本的には入居者にはフレンドリーな性格ではあるが、管理業務のこととなると、人が変わる。
 竜宮城の廃棄の噂を聞き、成果を上げようとやっきになっている。浦島主任の妻であり、七海の母親であるが、面倒を見てこなかった罪悪感から、七海に母であることを言えないでいる。また、所内の風紀の点から、あまり夫婦であることを知られないよう、別姓で通している。
 
 ○浦島八雲(40歳)/
  テロメア再生研究施設、竜宮城の主任研究員。20年前に、若干20でこの施設の立ち上げを担った。飛び級でハーバード大学を卒業し、遺伝子研究の権威に指導を受けていた。倫理上問題の多いこの研究に光を見出すべく、亀田研究員や、その他多くの研究員と研究を行っていたが、本土からの予算削減を受けて、ほとんどの研究者が別の研究所へ移っていった。浦島七海の父親。妻は亀田乙姫。ハーバード大学で知り合った。生まれた七海が遺伝子欠陥による病気を抱えていたことから、研究に没頭するようになる。テロメア再生技術の最初の実験者でもある。研究室を抜け出して七海の姿をこっそり見に行っていたため、テロメアのコントロールがきかなくなり、がん細胞が活性化して昨年命を落とした。七海の世話は七海の祖父母に任せきりになっていた。
 
 ○時間 2016年7月末。高校は夏休み。
 ○場所 東京から遠く離れた島の施設。名称は竜宮城。
 島と本土は連絡船で結ばれているが、基本的には連絡がない限り、連絡船は出ない。島では電力、水、食料など、全て自給自足が可能。医療や警察、学校等は存在しないが、施設研究員の中に医師はいる。
 
 ○竜宮城 テロメア再生技術研究所として、国立科学研究所の管轄で、約20年前に設立された施設。ここでの研究は、寿命を伸ばすためのテロメラーゼ活性について、人間を使った生体実験を行うこと。倫理的な問題から、一般的には非公表で、生死の境を彷徨う人等を対象に、個別に声をかけて連れてきている。当初は研究メンバーが自ら実験台となっている。
 竜宮城では、テロメラーゼを短くする要因となるストレスを排除するため、極力外界との接触を断ち、自給自足で不自由なく施設内で過ごすことを目的としている。その為、島を出て本土に戻ることは、研究員以外許可されていない。また、情報を外部に漏らさないために、無断の出入りを防ぐセキュリティシステムが設置されていて、誰かが解放ボタンを押していない限り、セキュリティシステムは解除されない。




 ○竜宮城研究員の構成 テロメア再生技術研究所、竜宮城の設立主任、科学研究院の浦島八雲。また、同じく初期研究メンバーとして、医師の亀田乙姫がいる。ただ、本土にある科学研究所本部からはお荷物扱いされていて、ほとんど経費は出ていない。存在が公になっていないこともあり、本部からは切り捨て論も強く出ている。
 また、倫理的な問題から、公にしないまま、連絡船を閉ざして廃棄しようという強硬派もおり、浦島や亀田の立場はかなり厳しいところにある。
 
 ○テロメアについて わたしたちの体をつくっている細胞は、常に分裂を繰り返し、新しい細胞をつくりだすことで”若さ”を保っている。しかし、細胞は無限に分裂できるわけではない。ある回数分裂した細胞は、それ以上分裂できなくなる。これが”細胞死”だ。
この細胞死と密接にかかわっているのが”テロメア”と呼ばれる、染色体の末端にある構造だ。細胞が分裂するたびテロメアは短くなっていき、テロメアがある長さ以下になった細胞は分裂できなくなる。つまり、テロメアの長さは、”細胞の若さを示す時計”と考えられる。
 2016年5月。マウスの寿命が20パーセント延びうるとされる遺伝子治療を、BioViva USA社のCEOが自身の体で試し、細胞が20歳若返ったと主張している。その方法は、テロメア活性、すなわちテロメラーゼを活性化する遺伝子配列を持ったウイルスを投与するという方法で、懐疑的な見解も示される一方、不死の薬だと褒め称える声もある。一般にはテロメラーゼ活性を促すサプリとして、TA-65という薬が市販されている。
 
 
 年代表
 1931:社長生まれる
 1940:女将生まれる
 1960:女将結婚。子ども生まれる。
 1971:鮫島生まれる。
 1978:女将の娘、良子亡くなる。
 1976:浦島主任、生まれる。
 1978:乙姫先生、生まれる。
 1996:竜宮城設立。浦島、乙姫結婚。
 1998:七海、生まれる。
 2015:浦島主任、亡くなる。竜宮城閉鎖決定。
 2016:現在。

.第1話 記憶の欠片
第1話 記憶の欠片
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