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死ねない神のプロローグ

死ねない神のプロローグ

死神（クロ）
ユウ
ヒナタ
シロ

舞台上、黒く長いローブを目深にかぶった死神が立っている。
その前を、泣いているのか、怒っているのか、うめきながらユウが横切っていく。
死神がいることには気がついていないよう。

死神　　　お嬢さん

突然声をかけられたことに驚いて振り返るユウ。

ユウ　　　え？
死神　　　泣いているの？いや、怒っているのかな
ユウ　　　…すみません。なんでもないんです

ユウ、足早にその場を立ち去ろうとする。

死神　　　ちょっと待ってよ

死神に声をかけられ、なぜか体が動かなくなってしまう。

死神　　　話をしようよ。…体、動かないでしょ？無駄だよ。動けなくしたんだもの。さあ、こっち向いて

言われるがまま、死神の方へ向き直ってしまうユウ。

死神　　　お嬢さん。泣いていたよね。怒っていたのかもしれないけど、とにかく君の心は大きく乱れていた。心が乱れている人を操ることはとても簡単だからね

死神、ゆっくりとユウに近づいていく。

死神　　　…ああ、自己紹介をしていなかったね。
私は死神。人間の命の管理をしている。だから、君の命をもらっていく。
大丈夫だよ、安心して。もうなにもつらいことはないよ。だから、ほら、私と一緒に行こう

死神、ユウに手をのばしたところで何かに気が付き驚く。

死神　　　シロさん。…シロさんだ
ユウ　　　え？
死神　　　どうしてこんなところにいるの？もう大丈夫なの？

困惑するユウ。

死神　　　ねぇ、覚えてない？僕だよ、僕。ほら、あの時シロさんに助けてもらった…

言いながらローブを脱ぎ、顔があらわになる死神。
すると、その顔を見て声をあげるユウ。

ユウ　　　ヒナタ！
死神　　　へ？

ユウ、動けなくなっている術を自ら解くと、死神につかみかかる。

ユウ　　　あんた、何やってんのよ！
死神　　　痛い痛い痛い！
ユウ　　　ヒナタ！ちゃんと説明しなさい！

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