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タクシードライバー

『タクシードライバー』

登場人物

敷島（しきしま・男・タクシードライバー）

リカ（女・客）

　　　　　深夜の繁華街

　　　　　その一角に停まる一台のタクシー
　　　　　運転手である敷島、窓の外を眺めている

　　　　　リカ、タクシーに近付く
　　　　　俯き、切ない表情

　　　　　敷島、リカに気付き、ドアを開ける
　　　　　リカ、乗り込む

敷島　どこまで行きましょう。
リカ　……。
敷島　お客さん？
リカ　どこか、遠いところへ。

　　　　　敷島、バックミラー越しにリカの瞳を覗く
　　　　　やがて、静かに発車させる

　　　　　しばらく、静寂が車内を包む
　　　　　街のネオンが流れていく

　　　　　大きな振動
　　　　　敷島とリカの身体が大きく揺れる

　　　　　再び静寂
　　　　　大きな振動
　　　　　急カーブ
　　　　　急停止
　　　　　その度にリカの身体がガクガク揺れる
　　　　　敷島は真剣な表情

　　　　　発車
　　　　　しばらく走った後、急停止

敷島　あぶねっ。

　　　　　リカ、前部座席に頭から突っ込む
　　　　　相当なダメージ

リカ　待って、ちょっと待って。
敷島　どうしました。
リカ　いや、あなたがどうしたの。あり得ないでしょう、さっきから。ナメてるの？
敷島　えっ！？　そんな、滅相もありません！
リカ　荒いんだよ、運転が！　何かのアトラクションかと思ったわよ。
敷島　す、すみません！　少し、いや、かなり緊張しているもので！　この仕事続けて
　　　もうそこそこなりますが、こんなドラマみたいな展開は初めてでねぇ。何か気合
　　　い入っちゃって、はは。
リカ　馬鹿じゃないの……。
敷島　元気出ました？

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