Cerise Cafe
Cerise Cafe

                                     
│                         │                              
│【キャスト】                   │ 【スタッフ】                       
│                         │                              
│カクさん   ・・・ 男              │ 演  出  ・・・                
│                         │                              
│ゆず子   ・・・  女              │ 照  明  ・・・               
│                         │                              
│ヨシノ    ・・・ 女               │ 音  響  ・・・              
│                         │                              
│                         │ 道  具  ・・・                
│                         │                              
│                         │ 衣  装  ・・・                 
│                         │                              
│                         │ 宣  伝  ・・・                
│                         │                              
│                         │ 顧  問  ・・・         
│                         │                              
│                         │                              
│                         │                              
│                         │                              
│                         │                              

                                                   Ver 1.0

『1.ファーストシーン』

 春を想起させるような楽しげなBGMと共に幕開き。このお話は『スリーズカフェ』という喫茶店を舞台にした約三十分ほどのお話。舞台の真ん中辺りに小さくて四角い二人掛けのテーブルが一つずつ存在している。下手にピンクの電話、脇に観葉植物、書籍の置いてある棚 ― 昔ながらの喫茶店だろうか。カフェのマスターとおぼしき男性カクさんと、既にテーブル席に背中を向けて座っている女の子・ヨシノ。

カクさん  (ご注文は決まりましたか?)
ヨシノ   (まだです、という手の合図)
カクさん  (わかりました。)

 テーブルを拭き始めるカクさん。カランカランという鈴の音。

カクさん  (いらっしゃいませ。お一人様ですか?どうぞ、こちらの席へ。)

 現れたのはリクルートスーツの上のコートを羽織っている女性・ゆず子。カバンも持ち合わせている。季節は3月…桜の花はまだ開花していないけれども、春の日差しと冬の寒さが入り混じっているような、季節としては安定しない時期。ゆず子は羽織っていたコートを脱ぎ、たたんでひざの上に置く。

ゆず子   (ホットコーヒーください)
カクさん  (かしこまりました)

 ゆず子は何だか暗い表情をしている。カクさんがお冷やとおしぼりを持ってくる。

カクさん  (どうぞ)
ゆず子   (…ありがとうございます。)

 ゆず子、お冷やを一口。何かを思い出して悲しんでいるように見える。

ゆず子   (はぁー…)

 ゆず子、悲しみを振り払うかのようにカバンの中からノートを取り出し、開く。持っていたペンで、何かを書こうとするが、うまくまとまらない。ノートをぐしゃぐしゃに書き殴り、うつむく。一体、自分は何をしているのだろう。涙が込み上げてくる。しばらくの間。春を想起させるような楽しげなBGMをかき消す電話の呼び出し音。びくつく女の子。

カクさん  はいはーい!

 カクさん、コーヒーの準備をしていたが、途中で切り上げて登場。猛ダッシュで上手から下手にあるピンク電話まで。

カクさん  はい、スリーズカフェです。…あ、どうも!いつもお世話になってます。はい、はい、そうですね。いつも頼んでるコーヒー豆お願いします。あと冷凍のポテトと、鱈の切り身を3パックほど…そうですね、お願いします。はい、はい、はぁい。
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