ミュージカルをやりたい
ミュージカルをやりたい
登場人物
かめおかゆみこ
菅原ゆか
市川令子
木村ちか
森島とわ
高橋ヒカル
匠透(たくみとおる)
遠藤けんじ
富田林演劇部顧問
1.演劇部の部室
幕が開くとみんなびっくりしたポーズで固まっている。
遠藤 「かめおかさん、もういちどいいですか」
かめおか 「えー、それでは最初から、もう一度説明します。この冬、なんともう一公演
できることになりました。そこで、どんな作品をやりたいのかを、みんなの
意見を聞こうと思いましたが、私はミュージカルをやりたい」
みんな、開幕の時のポーズに戻ってしまう。
高橋 「あの、俺、ああいうびらびらした羽つけて、階段降りるのはちょっと。タイ
ツはくのも、足太いし」
菅原 「高橋くん、それ違うって、それは宝塚」
匠 「その階段は、どのくらいの高さかな。手持ちの材料だと、せいぜい、2尺ぐ
らいのものしかできないよ」
菅原 「違うっていってるでしょ」
かめおか 「一部誤解している人もいるようですが、本年度は春の新入生歓迎公演では初
のホラー物『電飾男対スライム女』、初夏の地区大会ではラブコメディ『赤ず
きんちゃん甘茶』、秋の学園祭ではこれまた初の時代劇『白鷺城の姫君』、県
大会ではSFサスペンス『コンタクトレンズマン』と違うジャンルに挑戦し続
けてきたわけです。このいきおいで、ここで、一発ミュージカルをやりたい
なーって」
菅原 「反対」
かめおか 「なんでよ」
匠 「(フイガロの結婚で)一間、二間」
菅原 「私にお金の話をさせる気。春の新入生歓迎公演の『電飾男対スライム女』あ
の電飾だけでいくらかかったと思っているのよ、ねえ、高橋くん」
高橋 「3万円」
菅原 「私たちの演劇部の予算はいくらだと思っているの」
高橋 「いやー」
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