ヒメゴト
『ヒメゴト』

【配役】6人(男1 女3 不問2)
1A.王女 :ナツノ・ヴァーゲン。ポルテ王国の王女様。気品があり礼儀正しい。
1B.姉  :佐藤ミユキ。ニート。偶然にも王女と顔がそっくり。いいかげん。
2 .兄  :佐藤アキヒロ。三兄弟の一番上。まじめなサラリーマン。
3 .妹  :佐藤サクラ。三兄弟の一番下。
4 .メイド:マリア。王女に仕えている。
5 .犯人 :男女不問。王女誘拐をたくらむ悪者。
6 .店長 :男女不問。サクラの上司。

(※王女と姉は顔がそっくりという設定のため、一人二役で演じる)

【上演時間】90分

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<開幕>

【中央スポットライト】(王女が走り込んできて一人芝居)

王女 「マリア! どこですか、マリア! ふぅ……困ったわ。見知らぬ異国で一人きり。王室は一体どこかしら……
    あ、そこの方、ちょっと道をお聞きしたいのですけれど……ええっ!?(顔を見て驚く)
    え、ええ。そうですね。私も驚きました。他人のそら似というものでしょうか。
    あ、はい……それでは、ごきげんよう……
    まっ、待ってください!
    そうよ。これは運命。きっと神様の思し召しなのだわ……
    あの、貴方様にお願いがございます。少しの間だけで結構です。
    どうか……私の代わりに……どうか、私の代わりに、王女になってくれませんか!?」

【暗転】

(王女が座っている)

妹  「ただいまー」
王女 「……っ!」
妹  「あっつーい。もーお姉ちゃん、一日家にいるんだから窓くらい開けといてよ〜」
王女 「あ、あの……」
妹  「麦茶麦茶〜、あれ、ないじゃん。ねー、買い置きどこだっけ?」
王女 「あの……!」
妹  「ん? なに?」
王女 「その……はじめまして。えーっと……私の妹……サクラさま、ですよね?」
妹  「……は?」
王女 「お初にお目にかかります。わたくし、ポルテ国第一王女ナツノと申します」
妹  「…………はあ?」

【効果音:ししおどし】(王女、妹にジェスチャーで説明しながら座る)

妹  「え〜っと…………つまりだ……あなたは私の知っているお姉ちゃんじゃなくて、顔がそっくりな別人だと」
王女 「はい」
妹  「しかも外国のお姫様だと、そういうことなんだ?」
王女 「はい。急なお話にもかかわらずお姉さまには快く交替していただいて……本当に感謝しております」
妹  「ば……」
王女 「ば?」
妹  「ばっっっかじゃないの!」
王女 「え?」
妹  「もー! そんな変な嘘考えてる暇あったらバイトの面接の練習でもしなよー。もー! ばか! バカ姉!」
王女 「いえ、だから私はお姉さまじゃ……あ、テレビのニュースを見てください!
    本当のお姉さまが私の代わりとして映されているはずです」
妹  「ニュース〜?」(テレビをつける)
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