アイス!










    アイス!
                                女子聖学院高等学校演劇部




    キャスト
    アカ ルイコ 明るい子。「アカ」はあきらめに通じる。「ルイコ」は「涙子」。涙を流し尽くし             た諦めの中に立ち上がる明るさと強さが私。
    クライ ヨウ 裸足だろうがあぐらをかいて歌おうが、一青窈さんは許される。たまたま私はクラ             イに生まれただけなのに。一青窈ファンのお母さんのバカ。「ヨウ」は「陽」。ク             ライのは皆既日食。今はたまたま月の陰に入っているだけ。間もなく輝きを取り戻             すから。
    キヅ カレン 気づかれん。「キヅ」は「傷」。手首に残っています。メガネで地味に育った私は、           「可憐」なことなど一つもない。派手な服を着てどぎつい化粧をしたら少しは気づい             てもらえるでしょうか。
    イカリ マクル 船の錨ですから。アンカーであって、アンガーではない。どんな嵐が来ようとも、             どっしりと岩にかかって船を支えます。でも、岩がなけりゃ舟を止めようがない。            「怒り」だってそうでしょう。元になる岩があるから、対象があるから怒るわけで、            岩がなければ怒りようがない。





    オープニング
    真っ暗な空間。心臓の鼓動の音。やがて止む。
マクルの声  夢を見ていた。若い頃の夢。‥‥‥ここは?
ルイコの声  リビングだよ!
    明転。音楽「テラスハウス」テーマソング。
    リビング。座卓がある。白いソファーが一つ。奥にそれぞれの部屋につながる入り口が見える。
    シルエットの中に4人が浮かび上がる。人物紹介。
アカ   太陽のように輝くアカルイコ。
    ポーズ。
クライ   闇に生まれ闇に育つ、私に光は来るのでしょうか。クライヨウ。
    ソファーの肘掛に座ってポーズ。
イカリ   ドタバタアイス大好きっ子。イカリマクル。
    座卓に頬杖をついてポーズ。
キヅ   誰か私に気がついて。キヅカレン。 
    上手側に回ってソファーの肘掛に手をついてポーズ。
    やがて、アカがカバンを手にして立ち上がる。
アカ   じゃあ、行って来るね。
    手を振って出かけるアカ。見送る三人。見届けて奥へと去っていく。

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    アカルイコが帰ってくる。肩にカバン。手にコンビニのレジ袋。
アカ   ただいま〜!
    返事がない。奥の方の様子を見る。
アカ   ただいま〜。
    リビングに戻ってくる。
アカ   昼寝かな?アイス買ってきたのにな。
    座卓にレジ袋を置いて座る。
    突然バタバタと足音がして、イカリが飛び出してくる。その後からクライ。
イカリ   アイス!
クライ   (あくびを咬み殺す)おかえり、ルイコ。
    イカリ、座卓に置かれたレジ袋をひったくる。
アカ   あっ!マクルちゃん!
    イカリがアカに気を取られた瞬間、クライが袋を奪う。
イカリ   マクルのアイス!
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