【音声ドラマ用】 メイド喫茶でいちゃつく少女ら
うみのふかさで


【登場人物】
なみ
さとり
のどか

(1)   なみの独白

なみ(好き、とはいったいなんなのでしょう──
   言葉の意味はわかっているつもりです。
   だけど、経験を持たない知識は、実態を持たない空っぽなもので、
   取るに足りないもので。
   そもそもどうして。どうして私なのでしょうか。
   誰かを好きになったことのない私に、恋の相談だなんて──)


(2)   メイド喫茶 休日の夕方

  からんからんと鐘の音が鳴り、喫茶店の扉が開く音。

さと「おかえりなさいませ、お嬢様。 あ、なみちゃん! 来てくれてありがとう」
なみ「え、ええ」

なみ(ひ、一人で入るには、少し勇気がいりますね)

さと「もうすぐシフト上がるから、ちょっと待っててね」
なみ「は、はい」
さと「奥の席に案内するね。なみちゃんだけ、特別だよっ」
なみ「もう、仕方ないですね」
さと「え? なに?」
なみ「いいえ、なんでもありません」

なみ(ほんとに、そんな風に笑顔を向けられたら、何も言えなくなってしまうんですから)

  
(3)   メイド喫茶 奥の特別席

  がやがやと賑わっている店内の音がフェードアウト。

  カーテンを閉めて、

さと「おまたせ、なみちゃん」
なみ「さとり、着替えなかったのですか」
さと「うん、メイド服のままの方が気合いが入るから」
なみ「そうですか」
さと「・・・なに?」
なみ「ふふ・・・よく、似合ってますよ」
さと「へへへー、あらためて言われると、なんか照れちゃうなー。
   ありがとうっ」

  椅子を引き、座るさとり。

なみ「それにしても、奥にもテーブルがあったんですね」
さと「そうなの、ここはイベント用のスペースで、イベントの時とか、
お客さんが多いときなんかはときどき解放してるんだよ。
普段はサービスの手が回らなくなっちゃうから使わないんだけどね」
なみ「そうなんですね」
さと「バイト始めたばかりの頃は、ここで接客の練習してたんだ。
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