SANSANラジオナイト

(さんさんらじおないと)
初演日:2014/11 作者:赤字浪太郎
SANSANラジオナイト
【キャスト】
 ・阿木屋P(プロデューサー)
 ・段田AD(アシスタントディレクター)
 ・上原みかん
 ・佐倉ミキ
 ・佐倉(父)
 ・秘書


Scene1 ラジオ局
BGM
明転
舞台上には上原みかん(上原)が、リスナーからのメールを読み上げている
上原 それでは、リスナーからのメールを紹介したいと思います。
   ラジオネーム「ネバーギブアップ」さんからです。

   「みかんさん、こんばんは。私はよく、あがり症と言われます。
いつも緊張してしまって、周りの人に迷惑をかけてしまいます。
失敗続きで、何をやってもうまくいく自信がありません。
どうやったら、緊張しなくなりますか?」

   そうですね。私も最初は人前に立つことに抵抗はありましたよ。
   でも、見てください。今はそんなこと感じられないくらい元気です。
   なに?ラジオだから見れるわけないって。
   まーいいじゃないですか。では、話を戻して。
   私が知っているおまじないを一つ、ネバーギブアップさんに。
   それは、手のひらに「人」と書いて、三十五回食べてください。
   えっ?三十五回って多くないかって。
   それぐらいやったほうがいいんですよ。
   ということで、今度試してみてください。

上原 続いてが最後のお便りです。ラジオネーム「天かす大好き」さんから

   「私は、地元の高校に通う、16歳です。
もうすぐ私の父の誕生日なんですが、何を渡していいかわからないんです。
    ネクタイや、花だとなんかありきたりで…
    みかんさん、何か良いのありませんか?」

   なるほど、確かに身近な人にそういうことは改まってすると、恥ずかしいモノですね。日頃の感謝を伝えるのもなかなか難しいですし。
でも想いを伝えるのは、別にモノだけではないはずです。
思い切って、声に出して伝えてみるのもいいかもしれませんね。
 「いつも仕事頑張ってくれて、ありがとう」とか、
「水虫うつるから、お父さんと洗濯物別にしてって言って、ごめんなさい」とか。
もしそれが恥ずかしかったら、手紙なんかもいいですね。
今は、なんでもメールやSNSで済んでしまいますよね。そこであえて手紙です。
勿論、手書きですよ。手書きの手紙
   きっと、お父さんも喜んでくれるはずです。
   天かす大好きさん、試してみてくださいね。
以上、「みかん姉さんに聞け」のコーナーでした。

上原 お時間となってしまいました、本日の「SANSANラジオナイト」
   いつも、あっという間に二時間が過ぎてしまいますね。
パーソナリティーはいつもの通り、上原みかんがお送りしました。
それでは、最後はこの曲ともにお別れしましょう。
さようなら。

BGM
     暗転(BGM流れたまま)


Scene2 佐倉の家(リビング)
     明転(BGM流れたまま)
     舞台上には佐倉ミキ(佐倉)がラジオを聞いていた。

佐倉 手紙か…。

     舞台上に佐倉父(父)が登場

父 まだ起きてたのか。
佐倉 帰ってきてたんだ。
父 今さっきな。また会社に戻る。戸締りしておきなさい。  
佐倉 あのお父さん。

     SE 着信音(シンプルなもの)
     父、携帯電話を取り出す。

父 もしもし…分かった、今から向かうところだ。
…ん?その件なら大丈夫だ…分かった。切るぞ。

   父、電話を切る

父 行ってくる。
佐倉 待って。
父 なんだ?
佐倉 その、今度の日曜って…
父 ダメだ。その日は会議が入っている。
佐倉 じゃ…。
父 急ぐから、もう出るぞ。
言い忘れてたが、しばらく家を留守にする。
だからってむやみに出歩かないように。

     父、退場
     一人取り残される佐倉
     暗転


Scene3 控え室
     明転
     舞台上には上原が椅子に座っている
     阿木屋P(阿木屋)が登場

阿木屋 打ち合わせ中にすいません。ちょっと電話が入ってしまって。
上原 全然大丈夫ですよ。
阿木屋 そうですか。
上原 にしても、遅いですね。段田ちゃん。
阿木屋 ほんとすいません。教育不足で。
上原 いやいや、そんな。阿木屋さんの謝ることじゃ。
それに、いつものことじゃないですか。
阿木屋 上原さんは段田に甘いです。
    たまには、ガツンと言ってくれた方が。
上原 でも、そこが段田ちゃんの良いところなんじゃない?
阿木屋 良くないですよ。ADのくせに遅刻するは、ミスはするは、
    プロデューサーの俺の気持ち、わかりますか?
    ディレクターの仕事も俺がやってるのに、
これ以上仕事を増やされたら過労死しますよ。
    あいつには早く、一人前になってもらえないと…。

     段田AD(段田)が登場

段田 遅刻してすみません。
阿木屋 段田!これで何回目だと思ってるんだ。
段田 ほんとすみません。
上原 まーまー、そこまでにして。
阿木屋 本当に上原さんは段田に甘いですね。…段田。
段田 はい、阿木屋さん。
阿木屋 一つ聞くが、まさか寝坊じゃないだろうな。
    いつもいつも、同じ理由で遅刻するわけないよな。
    人間って学習するんだろ?
    お前もちゃんと学習してるんだろうな。
段田 …勿論、寝坊ではないですよ。
   実は、道を歩いていたら一人の老人がうずくまっていたんです。
阿木屋 老人?
段田 私はその老人に声をかけたんです。しかし返事がありませんでした。
   そう、その老人は死んでいたのです。
阿木屋 それで。
段田 私はすぐさま警察に電話しました。
警察の懸命な捜査により、容疑者が三人に絞られました。
私は確信しました。この三人の中にこの事件の犯人がいると。
阿木屋 容疑者ってそういうもんだからな。
段田 そんな中、私はある重大なことに気が付いたのです。
   そのことに気付いたとき、
   私は、目を、覚ましました。
阿木屋 寝てたんじゃねぇかよ!
段田 すみません。
上原 阿木屋さんも落ち着いて。
段田ちゃんも反省しているようですし、ここは私の顔に免じて。
阿木屋 …わかりました。じゃ、一旦外で頭冷やしてきます。打ち合わせはその後で。
    それと、段田は反省文を今日中に提出。
段田 …はい。

     阿木屋、退場
     段田、座り込む

段田 またやっちゃたよ。
上原 ドンマイ。次頑張ってね。
段田 でも、あんなに怒んなくたって。
   確かに私が悪いんだけど、あそこまで言わなくても。
上原 あれは、裏返しよ。段田ちゃん。
段田 裏返し?

     段田、自分の着ている上着を見る
     上着が前後ろ反対になっていることに気付く。

段田 あっ、本当だ。
上原 そっちじゃないんだけど。
段田 何が裏返しなんですか?
上原 それはね、段田ちゃん。…愛情よ。
段田 愛情。
上原 阿木屋さんは、段田ちゃんのことが嫌いで言ってるんじゃない。
   段田ちゃんならできるから、言ってるの。
   期待してるから、ついつい厳しくしちゃうんだろうね。
段田 そうですか?
上原 きっとそうだよ。
なんてったって段田ちゃんは、このラジオ局には欠かせない存在なんだから。
段田 そっ、そうですか。
阿木屋さんも、もうちょっと素直になればいいのに。
でも、そこまで期待されてるのか。
つまりもうすぐ、ディレクターに昇格ってこと?
そしてディレクターの腕が買われてプロデューサーになって
最終的には日本の大統領!
上原 段田ちゃん、調子のりすぎ。
段田 …すみません。
上原 でも、これからの頑張り次第だからね。
段田 はい!
   あっ、そうだ。実は昨日徹夜で作ったものがあるんですけど。
   見てもらえませんか?
上原 いいけど。何作ったの?
段田 それは見てからのお楽しみで。じゃ、取ってきますね。

     段田、退場
     少しの間の後、佐倉登場
     上原、佐倉に気付く

上原 誰?ここ関係者以外立ち入り禁止だよ。
佐倉 あの、助けてください。
   いま男の人に追われてるんです。
上原 追われてるって誰に?
佐倉 分かんないです。なんか道で声かけられて。
   それを断ったら、追い掛け回されて。
上原 心当たりは?
佐倉 いえ、なにも。
上原 もしかして、何かの事件に巻き込まれたとかかな。
佐倉 なので、ここに住みたいんですけど、いいですか?
上原 そうだね。少しの間匿うくらい…ん?住む?
佐倉 はい。
上原 どこに?
佐倉 ここに。
上原 ここに?
佐倉 はい。ダメですか?
上原 ダメも何も、ここはラジオ局だよ。
佐倉 知ってます。

     全体の照明が暗くなる
     ピンスポットがつく
     そこに阿木屋が登場(ピンスポットの所に阿木屋が走りこんでくるかたち)

阿木屋 段田め、昨日、倉庫の片付けしとけって言っておいたのに。

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