道場破りとお見合いと
☆上手にA 下手にBがそれぞれ立っている。

A 私の名は 上杉 超一郎 剣術専門の道場破りだ。今日はこの道場に挑むとしよう。
B 私の名は 小池 圭子。東京生まれ東京育ち。チャラそうな奴は大体友達。みたいな都
  会暮らしに嫌気が差し、とある村の集団お見合いの企画に参加することになった
A 頼もう。頼もう。私は道場破り。私が勝ったらこの道場の看板を貰い受ける。
B バスに乗って3時間。ようやく一つの村に辿り着いた。
A お前がここの道場主か。運が悪かったな。私は今まで一度たりとも負けたことがな
  い。
B 村ではたくさんの男の人たちが出迎えてくれた。みんな、私に優しく接してくれる。
A なに?防具?そんなもの必要ない。怪我をするだと?見くびられたものだ。おもしろ
  い。望み通り防具を付けて戦ってやろう。
B このお見合いに参加してる若い女性は私だけ。そのせいか、他の参加者たちの私に対
  する風当たりは強い
A これが面でこれが胴。こんなものつけるのはひさしぶりだ。・・・ちょっと待てよ。
  これはもしかして罠ではないのか?防具の奥に接着剤が塗ってあって外れないように
  してるのではないのか? 最強の剣士は注意深いものなのだ。念のため調べてみよ
  う。(防具に顔をうずめ) 臭い。面と胴が・・・・・・面胴臭い。
B 面倒くさい。女って本当に面倒くさい。なんかちょっと嫌な気分。でも私の気分はす
  ぐに治った。お昼の会場はお好み焼き屋。私の大好きなお好み焼き♪
A 小手も臭いのか?小手も調べよう
B コテを調べよう。私はお好み焼きにうるさい。ソースやマヨネーズ、鉄板にもこだわ
  る。だが、いちばんこだわるのはコテ。だから入念にコテを調べる。いわゆるコテ調
  べ
A 小手調べをしてやろう。もう準備ができた。お前でいい。かかってきたまえ。
B お好みを食べながら話は盛り上がった。この村について。この村はすごい村らしい。
A すごいムラ。すごいムラのある動きだ。そんなんで私に勝とうなど百年早―い(面を
  決める)なに?なぜそんなに強いのかって?私には確固たる信念があるからだ。勝負
  には強い意志がいる
B みなさんの話だと、この村には診療所が一軒だけあって一人でやってるという。その
  男は鋼の筋肉を持ち、熊をもなぎ倒すという。そう、この村には強い医師がいる。
A なに?確かにこの私の得意な型はこの上段の構え。相手の頭上に一発くらわすのに
  一番適した構えだからな。なに?ここの道場主に面は通じない?
B 東京にも強い医師がいるんですよ。アメリカの軍事力をもってしても倒せない医師
  が。えぇ、そうです  ・・・え?嘘でしょ?
AB じょうだんが通じない (上段・冗談)
A む、貴様が道場主か?一見普通に見えるが、面が通じないとはどういうことなんだ。
  ・・・なんだ。この面がどうかしたのか?・・・・これは?この面の素材は鉛!?鉛
  はきつい。
B そうですか。・・・・えぇ、そうですね。・・・・・えぇ、まあ。・・・・困った。
  最初はみんな緊張していたせいか標準語で話していたが、慣れてきたようだ。何言っ
  てるかさっぱり分からない。なぜなら、訛りがキツイ
A 面が鉛ということは他の防具は?胴は?・・・む、普通か。・・・コテは・・・これ
  も普通か。ということは、剣は?
B こんな言葉が通じないとこなんて嫌だ。お見合い?そんなもん
AB しないに決まってる(竹刀)
A そりゃそうだ、竹刀に決まってる。こんなところで真剣なんて使うはずがない。
  なに?真剣じゃ怖いのかって?鉛の面を使う奴にそんなこと言われる覚えはない!
B ここから抜け出そう。私はもうここに用はない。(走る)
A 勝負!
B ここはどこ?
A なに!?・・・うわー
B 人気がない。それどころか周りは
A 私の負けだ。このまま潔く
AB さるだけだ(去る・猿)
B ここは猿山?
A 道場破りも廃業か。どうしたものかな。
B 猿がこっちを睨んでる。誰か助けてー
A この声は!?
B もうダメ
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