あらすじ
大地の中心に「宿り樹」という大樹が生えていた。
この樹に人々は集まり、一つの国をつくって暮らしていた。
彼らは、「鳥人クピードの一族」。一族は皆、この一本の大きな樹の枝に、鳥のように住みついていた。この樹は、雲にも届くほど高く、それはそれは大きな樹だった。何年もの間、住人たちは何事もなく暮らしていた。
宿り樹の貧民街に住むロンデは、仲間のコルボ、ペックと泥棒稼業の毎日。そんなロンデの夢は、空を飛ぶこと。そんなロンデを笑う者もいた。
年に一度の「風祭り」は泥棒たちの稼ぎ時。そんな風祭りの日にロンデは、声を発する箱を拾った。
――助ケテクダサイ!――
イカレた老人イブーが言うには、この箱は地上のものらしい。地上は大昔に朽ち果てたはずだが…。
ロンデたちの、宿り樹と地上をめぐる冒険が始まる。