Ghost Go Home!
Ghost Go Home!

キャスト

蘭子(女 25歳くらい)
ミドリ(女 25歳くらい)
不動産屋の不動(男 40歳くらい)
カオリ(女 25歳くらい)

プロローグ
 暗転中。ややあって、舞台中央、蘭子にスポット。蘭子、舞台の上にいるように。
蘭子  「『でも、仕方がないわ、生きて行かなければ!ね、ワーニャ伯父さん、
生きていきましょうよ。長い、果てしないその日その日を、いつ明けるとも知れない夜また夜を、じっと生き通していきましょうね。運命がわたし達にくだす試みを、辛抱づよく、じっとこらえて行きましょうね。今のうちも、やがて年をとってからも、片時も休まずに、人のために働きましょうね。そしてやがてその時が来たら、、素直に死んでいきましょうね・・・・』」
 明転すると何もない舞台。
ミドリ 「それって、チェーホフのワーニャ伯父さんの名台詞よね。」
蘭子  「そうなんだよなあ。」
ミドリ 「中々良かったとは思うけど、その『ワーニャ伯父さん』ってところを
『ソーニャ伯父さん』って読んだんなら、もう致命的じゃない?」
蘭子  「もう、外国人の名前って大嫌い。全然覚えられないし、簡単な名前だと思ったら
すんごい似てるんだもん。
途中でワーニャだかソーニャだかメーニャだかニャーニャだか・・
ニャーニャー、ニャーニャー。もう、訳判んなくなるっちゅうの。」
ミドリ 「チェーホフに怒られるわよ。」
蘭子  「ホントに・・一郎と和子にすればいいのよ。」
ミドリ 「無茶言うわ、この人。で、やっぱりオーディションは・・」
蘭子  「駄目よ。もう、落ち込んじゃう。これで3回目よ。ハア。」
冷たい木枯らしの音。
蘭子  「うーさむう・・」
ミドリ 「フトコロと同じだね(笑)」
蘭子  「そこ、笑うとこ?笑えないわよ。」
ミドリ 「だって、性格なんだからしょうがないでしょ。」
蘭子  「ナンかイラツク。」
ミドリ 「怒らないの、怒ると幸せが逃げてっちゃうぞぉ。」
蘭子  「幸せなんかとっくに逃げてるわよ。遠い遠いカナタに飛び去ってるわよ。」
ミドリ 「そうかしら。」
蘭子  「そうかしらじゃないわよ。劇団は解散、公演は中止、それで他の劇団の
オーディションは落ちまくるわ、親からの仕送りも無いわ・・(泣)」
ミドリ 「もう、ずんどこね!(笑)」
蘭子  「笑い事じゃない!住まわせてもらってた劇団の稽古場だって、劇団解散で閉鎖されて
出てかなくちゃならないっていうのに(更に泣)」
ミドリ 「人間何とかなるものよ。あきらめちゃダメ。ね。」
蘭子  「・・・」
ミドリ 「ほら、私を見て?」
 と言いながら蘭子のホッペを両手で挟む。
ミドリ 「ん?(ニッコリ)」
 蘭子、ホッペを両手で挟まれたまま、
蘭子  「アンタ幸せね。」
 ミドリ、両手を離して、
ミドリ 「ウフフ、だってミドリは『いつもあなたの傍にいる、
あなたの幸せ応援隊、みんなのアイドル!ミドリんです!』(ポーズを決める。シャキ
ーンとか効果音があれば・・)(笑)」
蘭子  「お前はミドリン星人か!」
ミドリ 「(何かポーズを決めて)そうです、ミドリんは幸せの星からやってきた、
ミドリン星人なのです。テヘペロ!」
 蘭子、黙って去ろうとする。
ミドリ 「ちょ、ちょっと待ってよ。」
蘭子  「稽古場も閉鎖されて、住むとこも追い出されるって言うのに、何がミドリン星人だよ!
お前の頭はミトコンドリアか?」
 ミドリ、声が変わって
ミドリ 「しゃあねえ、男でもだますか。」
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