王道ディスカッション
王道ディスカッション

春田 男。
秋岡 男。
冬木みどり 女。

 最初は舞台が暗い
 キーンコーンカーンコーン。チャイム音。
 明転
 机と椅子が数個ある。春田と秋岡が椅子に座って真剣な顔をしている。

秋岡 これより、第22回文芸部のディスカッションを始める。今回のテーマは……「王道は現実にありえるのか?」だ。ではよろしくお願いします。
春田 よろしくおねがいします。
秋岡 んじゃ、まずは俺から……
春田 ちょっと待て秋岡。その変な格好はなんだよ?
秋岡 フッフッフ、さっきまで教室で俺の生ライブだったのさ!
春田 教室で歌うのはやめようね。
秋岡 俺の歌声に皆酔いしれていた。フゥー(以下何か歌う)
春田 はいはい。お前歌だけはうまいもんな、才能あるよ。でも時と場所を考えろ。
秋岡 そういえば春田こそ、その絆創膏なんだよ?鼻になんか貼っちゃってガキ大将にでもなったのか。
春田 あ、いや。おっ、王道だろ?
秋岡 ははぁ、まずはそう来たか。
春田 そう、そう。まずはこれで。先手必勝ってやつ?
秋岡 やられたな。じゃあ、「絆創膏を鼻に貼るやつは本当に居るのか?」が春田により立証っと。出だしは快調だな。
春田 じゃ、じゃあ次の王道!ええと、
秋岡 「授業中に隠れて弁当を食う奴は居るか?居ないか?」
春田 ああー、どうだろう。
秋岡 この議題いいだろ?ありそうでなさそう。
春田 パンならなんとかいけるかなぁ?
秋岡 やっぱり弁当は厳しいよな。お箸と弁当箱があたると楽器みたいにうるさいぞ。
春田 あれってさ、教科書とかを立てて隠して食べるんだよな。
秋岡 教科書立てるだけで目立つよな〜。
春田 いかにも「食べてます」って感じだもんな。
秋岡 弁当箱出した時点でアウトかな。
春田 かなぁ。
秋岡 俺は見た事無いけど、他の学校には1人ぐらい居そうだけどな授業中弁当。
春田 悩むな〜。
秋岡 あ、でもあれなら居るか。
春田 どれ?
秋岡 早弁。
春田 ああ〜。
秋岡 俺のクラスの山田がこの前2限の休み時間に食べてたよ。
春田 そういや伊東もやってたな。って、これも王道?
秋岡 王道だろ。ほら、(秋岡、春田に漫画の1ページを見せるな?
春田 1冊だけ見せられてもねぇ……
秋岡 これと、これとこれも読め!みんな早弁漫画だ!
春田 えーと、じゃあ結論。「早弁は結構居るけど、授業中弁当はそれよりも低い確率で居そうな感じ」っと。
秋岡 また微妙な。
春田 いいだろ。じゃあ次は「屋上で弁当はありえるか?」
秋岡 おお、弁当の王道ナンバー1の議題だな。
春田 俺、これはないと思う。
秋岡 ほう?なんで?
春田 だってうちの学校、屋上開かないじゃん!
秋岡 そういや、立ち入り禁止だったな。
春田 1年の春に張り切って屋上に弁当持って行ったら開かない!夢だったのに…。
秋岡 うちの学校が特殊だったんじゃないか?
春田 でも姉ちゃんの大学も屋上立ち入り禁止みたいだし、南校も屋上開いてないって噂だぞ。
秋岡 よくそんな噂知ってるな。でもまあ、確かに屋上行ってるやつなんて見た事無いな。
春田 秋岡の意見は?
秋岡 フィクションだと屋上は主人公達の憩いの場だ。だけど、実際はほとんどクラスで食べるだろうな。普段一緒に食べる奴なんて大抵クラスメイトだろ。わざわざ屋上まで行く意味が分からない。
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