あらすじ
二十五世紀。
地球はすでに「母星」とよばれ、人口の多くは「セカンドブルー」という名の第2の星に定着している。
人工の皮膚と知能を持ち、成長することの出来る機械「アンドロイド」が普及して200年が経過している。
「アンドロイド」と「人」の混在する世界だが、実は、保護法ができているため、現在では「ア
ンドロイド」の方が就労や財産の面で有利であり、不況下で新たな軋轢を生んでいる。
鍾乳洞の中にある施設〈クジラの腹〉は、建国記念公園の地下にある、巨大なジオラマである。
昔のロケットが不時着、大破した残骸を、〈クジラ〉に見立てている。
海底道路で陸地と繋がっているが、資料館の殆どは地下の鍾乳洞内にあり、職員はじめじめした薄暗い中で一日の大半を過ごす。
巨大なジオラマが見守る鍾乳洞で、
「心という臓器の有無」を悩むツンデレのアンドロイドと、くたびれた中年男と、人間の青年が、
どんな未来になっても変わらない人間の「しようもなさ」を唱い、叫ぶ30分。