ずれ
サイトウ家の居間。
テーブルを挟んで、4人の男女が座っている。
この家の一人娘・ユミの隣に座るのは、ユミの恋人であるタナカ。真面目そうな見た目だがどこか落ち着きのない青年。
向かいに座っているのは、サイトウ家の父と母。
少し緊張した様子のタナカ。
タナカの手をテーブルの下で握り、つとめて笑顔を作っているユミ。
ニコニコしながらお茶を飲みつつ、タナカを値踏みするような目で見ている母。
真っ赤なビキニでグラビアポーズを取っている父。(ポーズは随時変化する)
母が湯のみをテーブルに置く。
ユミがタナカのヒザをぽんぽんと叩く。
意を決して口を開くタナカ。
タナカ
「えー、今日は大事なお話をしに参りまして……」
母
「大事なお話?」
タナカ
「はい。あの……えー……まぁ、ユミさんと僕の、その、将来についてですね」
母
「ええ」
タナカ
「あのー……」
母
「……どうしたの? 続けて?」
タナカ
「いえ、あの……お二人にはその、今日初めてお会いしたばかりなので……こんなことを申し上げるのは、失礼かもしれないんですが」
母
「いいのよ、気にしないで。まぁ、前もってお会いできたら、それはそれでよかったけどね」
タナカ
「すみません」
母
「あら、タナカさんのせいじゃないわよ。ユミがいつまで経っても連れてこないもんだから。照れてたのかしらね?」
ユミ
「私もタナカさんも忙しかったから、色々」
タナカ
「すみません」
ユミ
「気にしないで」
母
「そう、気にしないで」
タナカ
「はぁ」
1/9
面白いと思ったら、続きは全文ダウンロードで!
御利用機種
Windows
Macintosh
E-mail
E-mail送付希望の方は、アドレス御記入ください。