GARDEN
『GARDEN』
脚本:岩本憲嗣 脚色:やすを(改)
■登場人物
桜井宏太 (さくらいこうた・♂・28歳・水彩画家)
牧野つばき(まきのつばき・♀・22歳・学生、すみれの妹)
蓮見修司 (はすみしゅうじ・♂・28歳・会社員、桜井の親友)
蓮見すみれ(はすみすみれ・♀・27歳・修司の妻、つばきの姉)
長田葵 (ながたあおい・♀・28歳・ブライダル会社社員)
牧野菊代 (まきのきくよ・♀・60歳・つばきとすみれの叔母)
由利太郎 (ゆりたろう・♂・27歳・レストラン経営、資産家の御曹司)
三好香澄 (みよしかすみ・♀・27歳・主婦)
山吹恭子 (やまぶききょうこ・♀・30歳・レストラン従業員)
今藤義仁 (こんどうよしひと・♂・40歳・ブライダル会社社長)
桜井桃子 (さくらいももこ・♀・33歳・宏太の姉)
高津辻夫 (たかつつじお・♂・33歳・雑誌記者)
【プロローグ】
舞台中央に一人の桜井が立っている。そして、それを囲むように蓮見、すみれ、
桃子がいる。皆、手には本を持っている。
桜井 この世界には色がある。山も海も空も……そして私たちも。肌が白いとか黒いと
かそういうことではなく、皆それぞれに、それぞれの色を持っているのだ。
桃子 私は幼くしてそのことを誰よりも強く、誰よりも残酷に知ることとなる。
すみれ それは10歳の時、私はたった一人で小さな“冒険”に出た。
蓮見 目的地は長野にある祖父母の家。手には鞄いっぱいの絵の具と筆。
桜井 私は子供の頃から、絵を描くのが好きだった。東京にいては味わえない自然の色
鮮やかさを画用紙の中に収めたい気持ちでいっぱいだった。
桃子 そう思い乗り込んだ夜行バスの中、私のささやかな期待は水泡に帰すこととなる。
すみれ ……永遠に叶わぬ夢になる。
蓮見 突如襲った衝撃、揺れる景色……耳を劈く悲鳴。同時に世界の天地は引っくり返
った。
桜井 2度、3度、4度、5度。
桃子 ……それ以上は覚えていない。次に私が見た景色は、不気味なくらいに白い天井
と真っ白な衣服に身を包んだ男女の姿。
すみれ 幸いにしてそれは天使などではなく、医師と看護師、そして家族の姿だった。
蓮見 バスが横転し崖から転落。乗客32名のうち助かったのは子供二人。もう一人は
まだ5歳だったという。
桜井 そう……僕は奇跡的に命を救われたのだ。
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