脚本ダウンロードサービス

通りすがりの仲直し屋

通りすがりの仲直し屋

仲尾採没（なかお　とりもつ）…仲直し屋
須藤成美（すどう　なるみ）…英雄の彼女。英雄とケンカをしたがやり直したい。
榊　英雄（さかき　ひでお）…成美の彼氏。

[公園]
　成美と英雄がケンカをしている。
成美「どうして本当のことを言ってくれないの？」
英雄「本当のことってなんだよ？」
成美「浮気したんでしょ？」
英雄「だから、してないって！」
成美「だったらケータイの写真に写ってた女の人は誰なの？しかもツーショットで！」
英雄「だからそれは会社の上司だって何度も言ってるだろ？飲み会の席でノリで
　　　撮っただけだって」
成美「飲み会のノリだったら何をしてもいいわけ？」
英雄「そういうことじゃないだろ？」
成美「こんなに軽い人だと思わなかった」
英雄「なんだよ？がっかりか？」
成美「その通りよ！」
英雄「あぁ、そうかよ。じゃあ俺たち終わりだな」
成美「そうね。せっかくお母さんに紹介して…お父さんにも…報告したのに…。
全部台無しよ」
英雄「まったくだな。お前の両親も人を見る目がなかったんだな」
成美「…」
　沈黙
英雄「…わりぃ、今のは言いすぎた…ごめん…」
成美「…最低…。もう帰って！二度と連絡してこないで！！」
　黙って帰る英雄
成美「…ばか…」
　成美の様子を伺うように採没が登場。
採没「どうかされましたか〜？」
成美「っ！？な、なんでもないですっ」
採没「そんなわけないでしょうに。あなた泣いているじゃありませんか〜」
成美「ほっといてください！」
採没「いや〜、放っておけませんな〜」
成美「しつこいですよ！あなたなんなんですか？」
採没「これは失礼いたしました〜。申し遅れました〜。わたくし、こういうものです」
　名刺を取り出し成美に渡す。
成美「『仲直し屋？仲尾…』名前なんて読むんですか？」
採没「仲直し屋。仲尾採没でございま〜す」
成美「珍しい名前ですね？」
採没「よく言われます」
成美「ていうか、『仲直し屋』ってなんですか？」
採没「よくぞ聞いてくれました。わたくしはケンカをしてしまったカップル、親子、友達
　　　などの仲を取り持ち、仲直りをさせる仕事をしています」
成美「仲直りをさせるって、どーやって？」
採没「それはご依頼の方の関係やケンカの状況によりますので〜一概にこーやって
というものは言えません」
成美「それが仕事になるんですか？」
採没「もちろんでございます。こう見えてもお客様は多いのですよ」
成美「お金とかは？」
採没「一切頂きません。わたくしは仲直りした後のお客様が幸せになっていただければ
それでいいのです」
成美「おかしいですね。仕事になってないですし」
採没「人は相手のことを心から嫌いになることはできません。
　　　むしろ相手が好きだからこそ、些細なことが気になってしまいケンカに
なってしまうのです。もしかしたら、そのケンカがきっかけで二度とその人と
会えなくなってしまうかもしれないのですよ？そんなの悲しいではありませんか」
成美「確かにそうね」

1/5

面白いと思ったら、続きは全文ダウンロードで！