鼻糞、目糞を嗤う
cast

目くそ(♂)
鼻くそ(♂)
爪あか(♀)





     舞台はいかにもラスボスがいそうな部屋。巨大なパイプオルガンが背景にあると言うことない。面倒なら適当に黒っぽい部屋でOK。(椅子2、机1推奨)

     舞台中、鼻くそがひとり椅子に座って笑っている。

鼻くそ「くっくっくくく……」

     鼻くそ、携帯電話を操作する。

鼻くそ「これで、終わる……。この手ですべてを終わらせるんだ……。私が……」
目くそ「(舞台外から)鼻くそぉ!」

     上手から目くそ登場。

鼻くそ「ふん」
目くそ「ようやく追い詰めたぜ……」
鼻くそ「目くそ。ここでお前が現れるのは、私のシナリオじゃあないんだがな……。まあいい」
目くそ「鼻くそ、お前、自分が何をやっているのかわかっているのか?」
鼻くそ「当然だ。まあ、お前に理解してもらえることを期待してはいないよ。……ああ、私を止めに来ることを目的としてきたのなら、間一髪だったな。お前が来るのがあと10秒遅かったら、私はこの世界を滅ぼしていたところだ」
目くそ「鼻くそ」
鼻くそ「なんだ、目くそ」
目くそ「お前を、止めに来た」
鼻くそ「無駄だ」
目くそ「鼻くそ! お前がやっていることはただのやつあたりだ!」
鼻くそ「百も承知だ。くくっ。滑稽だとは思わないか? いち鼻くそのやつあたりで滅ぼされる人類とは……あまりに……」

     目くそ、戦闘態勢に入る。(上着を脱ぎ捨てるとか、武器を構えるとか)

鼻くそ「まあ待て。私はお前のように野蛮ではないのでな。喧嘩になったらひとたまりもない」
目くそ「俺も、昔から口喧嘩でお前に勝ったことはないからな。みんなとも約束した。鼻くそのやつを一発ぶん殴って、正気に戻して連れて帰るってな!」
鼻くそ「落ち着けと言っているだろう」
目くそ「!?」

     跳びかかる目くそ、初撃をかわして目くその関節をきめる鼻くそ。

目くそ「く!? な……?」
鼻くそ「すまんな、喧嘩が苦手というのは嘘だ。もっとも、お前が知っている鼻くそは喧嘩のけの字も知らない臆病な男だったろうがな。ともあれ、同じ人間から排出された者同士で争うというのも、これまた滑稽だとは思わないか?」
目くそ「離せ、この! う、わ」

     鼻くそ、目くそを乱暴に椅子へ座らせる。

鼻くそ「まあ、座れ。あれだけの罠をくぐりぬけて私のところまで来たのだ。さぞかし疲れたろう」
目くそ「……鼻くそ、お前の目的はなんだ……?」
鼻くそ「人類の滅亡、それ以外に何がある?」
目くそ「何故だ! 俺たちは人間から生まれた! いわば人間は生みの親だろう! どうしてその人間たちを……!」
鼻くそ「くっくっくっく……」
目くそ「何が可笑しい」
鼻くそ「失礼、なるほど生みの親か。確かに、物は言いようだな」
目くそ「なんだと?」
鼻くそ「しかしお前もゴミのような扱いを受ける同胞たちの姿を知らぬとは言わさんぞ。ティッシュに包まれて捨てられる者などはまだいい。ゴミのように路上にポイ捨てされる者、無情にもシンクに流されていく者、電車やバスのシートになすりつけられて放置される者……お前にも覚えがあるだろう」
目くそ「…………それは」
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