ボクと先生の7週間
ボクと先生の7週間
登場人物
ボク 佑(ユウ)
先生
友人 慎子(チカコ)
生徒 喜(ハル)
=幕
幕が開けると『どこか』
舞台中央にはベンチが置かれ、後ろには道が通っている
ベンチの上に黒い影のような人が座り、その膝の上には猫の人形がある。
これを先生とする
その近くには、体に合わないブカブカの服を着た人が座って先生を見る
この人物は少年とも少女ともいえない容姿である
これを生徒とする
生徒 先生、聞いてください。ハルは昨日、生まれて初めて海に行ったのです。空は澄み渡るように青く、海風が絶えず吹いてきて、ハルの頬を優しく撫でるのです。押しては引いて悠久の時を刻む波の間で、ハルは大自然を感じたのです。先生、海は大きいですね。ハルは感動しました。でも、少し怖かったです。見渡す限りが海で、海に囲まれて、まるで行き止まりの様に感じて、渓谷の吊り橋を渡るような底知れない恐怖を感じたのです。先生。どうして人は怖いって思うのでしょうか。海は決してハルに牙をむいてはいないのに。ただ。ただ。押しては引いて。ただそれだけなのに。どうしてハルは怖いって思ったのでしょうか。
先生 ・・・。
誰かがやってくる
その誰かは着の身着のままで、部屋着に近い恰好でやってくる
これをボクとする
生徒 そうですね。先生にも分からないことはありますよね。先生。先生は怖いと思ったことはありますか。・・・はじめまして。
ボク はじめまして。
生徒 ハルはハルといいます。あなたは。
ボク ボクは、ボクです。
生徒 そうですか。はじめまして。
ボク はじめまして。
生徒 先生にご用でしょうか。
ボク 先生?
生徒 はい。先生です。
ボク ・・・。
生徒 ハルは帰りますね。
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