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明和区ホテル

『明和区ホテル』

登場人物

瀬戸　雅治（セト　マサハル）…明和区ホテルの新米ホテルマン

臼井　輝彦（ウスイ　テルヒコ）…明和区ホテルの支配人

西大路　大（サイオオジ　マサル）…明和区ホテルの宿泊客

浜田　信幸（ハマダ　ノブユキ）…明和区ホテルの宿泊客

宍門　誠（シシド　マコト）…明和区ホテルの宿泊客

須藤　雅人（スドウ　マサト）…ホテル業界の最大手・矢界ホテルの支配人

吉田（ヨシダ）…瀬戸の同級生

客Ａ（声のみ）

客Ｂ（声のみ）

客Ｃ（声のみ）

就活生

　シーン（１）

　　　明転。面接が行われている
　　　向かい合って座っている瀬戸と臼井
　　　臼井が瀬戸の履歴書に目を通している

瀬戸　「…失礼ですけど、もう一度おっしゃってもらってもよろしいですか…？」
臼井　「君、採用」
瀬戸　「採用ってその。内定を頂けた、ということですか？」
臼井　「内定というか、決定だね」

　　　釈然としない様子の瀬戸
　　　喜んでいいのかよくわからない

臼井　「不服ですか？」
瀬戸　「い、いえ。そういうことでは断じてないのですが…。就職活動を行ってきて、
　　　　面接の場で内定を頂けたのは初めての経験で…。
　　　　それも、御社のような有名企業に…」
臼井　「うちって、そんなに有名？」
瀬戸　「はい、有名ですよ。地元じゃ、知らない人はいないくらいです」
臼井　「あぁ、そうなんだ…。集客数イマイチなんだけど…（ひとり言のように）」
瀬戸　「え？今、なんておっしゃいました？」

　　　臼井、瀬戸を見つめる

瀬戸　「すみません、何でもないです」
臼井　「とにかく、あれだよ。…君、名前は何だっけ…」
瀬戸　「瀬戸雅治です。そろそろ覚えていただけませんか。もう５回目ですよ…」
臼井　「（瀬戸の言葉を遮り）瀬戸君。君はね…例えるなら原石だ。
　　　　原石は磨けば光るものだ。君はほら、ダイヤモンドの原石だよ。
　　　　…え〜……（言葉に詰まり）」

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