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ニッポンのゆくえ

「ニッポンのゆくえ」（仮）

（エプロンをつけた二人が立っている）
A：はぁー、ひまだなぁ。
B：早朝のコンビニなんてこんなもんだろ。
A：おれさぁ、東京に行ってビックになろうって思うんだ。
B：ビックってなんだよ。
A：ビックってのは「ビック（面白いアクション）」だよ。
Ｂ：・・・・ふぅーん。
Ａ：あ、お前今俺のこと馬鹿にしただろ？
　　最近、俺音楽にはまっててギターの練習してるんだぜ。
　　ミュージシャンになってお前をあっと言わせてやる！
Ｂ：東京で、ミュージシャンね。やめとけよ、東京なんてつまんないぜ。
Ａ：ぜったい東京のほうが楽しいって。
Ｂ：東京ってのは大変らしいぜ。
一日中パソコンと向かい合ってるって聞くし。
Ａ：へぇ〜、会社にずっと拘束されてパソコンと向かい合ってるのか。
Ｂ：いや、ずっと家の中にいてパソコンと向かい合ってるんだとよ。
Ａ：家で？あ、家で仕事してんのか。メールとかファイル共有使って。
Ｂ：ネットなんて当たり前。これがなきゃ生きていけないらしいしな。
Ａ：そんなに外に出られないほど大変なのか。なら、テレビでも見ればいいじゃん。
Ｂ：テレビか。テレビは確かにおもしろい。
Ａ：こっちはさ、ローカルだからあんまりチャンネル数ないけど、きっとたくさんあるんだろうなぁ。
Ｂ：いや、東京は全然チャンネルないよ。
Ａ：マジで？
Ｂ：（指で数字の二を出しながら）二つ。
Ａ：二チャンネルしかないの！？
B：まぁ情報量ハンパないから、これで十分足りるんだろ。
A：えぇ！？でも二チャンネルってことはさ、ＮＨＫだけじゃん。ツマンネェー
Ｂ：つまんねぇとはなんだ！お前、ＮＨＫをなめるな！
Ａ：なんだよ、急に。わかったよ、わかった。でもそれなら外出するしかおもしろいことないか。
Ｂ：外出てもつまんないぜ。
Ａ：なんで？いろんな店あるだろ。
Ｂ：東京って電気屋しかないんだろ。
Ａ：まじかよ！
Ｂ：パソコンばっか。
Ａ：でもテレビとかでおしゃれな服の店とか紹介してんじゃん。
Ｂ：おしゃれな服の店って言っても、売ってるの女物ばっかだぜ。セーラー服とかチャイナ服とかスクール水着とか・・・。
Ａ：ハロウィンみたいだな。
Ｂ：男物はあんま売ってないから、みんな同じ格好。
Ａ：・・・・あぁ、確かに。
Ｂ：変なＴシャツ。
Ａ：黒縁めがね
Ｂ：リュックにポスター
Ａ：そんでもってＴシャツIN。
ＡＢ：ダッセー
Ａ：彼女とかできないだろうな。
Ｂ：あぁ・・・いや、東京には１００％彼女作る方法がある。
Ａ：マジで？どんな？？
Ｂ：あのな。電車の中でからまれてる女の子助けるとカップルが成立するらしい。
Ａ：そんなドラマみたいなことあるわけないだろ。
Ｂ：それだけじゃない。
　　食パン咥えた女の子と街角でぶつかるだけで彼女になるし、図書館で同じ本に手を伸ばして手が触れただけでフォーリンラブ。
Ａ：東京ってそんな簡単に彼女できるのか〜。
Ｂ：まぁ基本的に女の子は全員俺のこと好きだからな。
Ａ：何その自信過剰。
Ｂ：自信過剰じゃねぇよ、それが東京の普通なんだぜ。
　　お前だって同じだ。東京に行ったら、だいたいの女はお前のこと好きだから。幼馴染だろうと、人妻だろうと、義理の姉だろうと、ほとんどがお前の嫁なんだよ。
Ａ：ほとんどが俺の嫁かぁ。うぉ、東京いい場所じゃん。そいえばさ、東京の女はえろいって聞くぜ。君は誰とキスをする？とかサービスサービスとかあなたと合体したい！とか普通に言ってくるらしいしな。やっぱ、俺東京に行きたい！
Ｂ：だがな、東京にいる女の子はなんか普通じゃないぜ。

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