開かずの間にて
開かずの間にて
作:
木村キムラと館女演劇部
あらすじ:
開かずの間と化していた部室の片付けに訪れた演劇部の面々。うるさい女優、辛辣なライバル、物言わぬ脚本、足りない舞台監督に頼りない部長。ゴミの山を掘り進む彼女らの見つけたものは……。
キャスト:
部長
舞監
女優
ライバル
脚本
卒業式まであと一ヶ月ほどとなった、一月の終わりのある日。演劇部の部室。
(BGM:nangi「Walkの約束」 00:12で緞帳上げ。BGM継続。)
大道具、小道具、衣装類が部屋のあちこちに雑多に積まれている。壁際には台本集や資料の本などが詰まった書棚。
部室の真ん中に、積まれた衣装ケースや段ボール箱に囲まれた部長。歌を口ずさみながら淡々と片付けをしている様子。
(BGM 00:35からフェードアウトし、部長の歌につなぐ。)
部長、口ずさむように歌う。(25秒)
女優 「(突然ドアを開けて入ってきて)おはよー。って、なにこのカビカビカビ。くさっ。(言いながら窓に走って窓を開けて顔を出し)ぷはー。」
部長 「(平然と淡々と)おはよー。」
ライバル「ごきげんよう。(手で鼻を押さえて)……という言葉はこの場にはふさわしくありませんわね。」
舞監 「おはよー。(部屋を見回して)うわー。さすが開かずの間ねー。」
脚本 「(静かに入ってきて)……何年前の空気?」
部長 「少なくとも、二年前。」
舞監 「部室っつーか、物置よねー。」
脚本、書棚の前に立ってしげしげと見ている。
ライバル「(壁に掛けられた額縁を見上げて)最優秀賞、主演女優賞、創作脚本賞……。開かずの間と化したこの部室に燦然と輝く過去の栄光。」
舞監 「すごい。そんなに賞とってたんだー。」
ライバル「でしたなら多少はドラマチックになりましたのかと。」
女優 「(鼻をつまんだまま顔を中に戻して)あたしは! あんたのその芝居がかってんだかそうじゃないんだかわけのわかんないところが! だいっきらいなのよ!」
ライバル「あなたがわたくしを好きかどうかなどどうでもよくてよ。わたくしたちはチーム。チームのために最も貢献できる役目を、最も貢献できる者が果たす。秋の大会ではあなたの演技力にみなが期待いたしましたが……。」
女優 「(鼻から手を離して)あたしのせいで県大会行けなかったっての!? 主演オーディションで落ちたあんたに言われたくないわ!」
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