ミミノヒメミコ
ミミノヒメミコ
■登場人物■
・明日香(あすか)……貿易商社に勤める一般職社員。超人的な地獄耳を持つ。
・善明(よしあき)……明日香の幼馴染。明日香と同じ会社に勤める。総合職の営業。
・華与(かよ)…………明日香の職場の同期。職場の高嶺の花。
・緒方(おがた)………明日香たちの上司。錦織の甥。
・錦織(にしきおり)…代表取締役社長。
・聖徳太子………………明日香の遠い祖先。神から特別な耳を授かる。
・小野妹子………………華与の遠い祖先。神から特別な言の葉の力を授かる。
薄暗い部屋に明日香が1人で黙々とデスクワークをしている
しんと静まった部屋
タイピングをする音しか聞こえない
机の上にある箱ティッシュで鼻をかみ、慣れた手つきで近くのゴミ箱に捨て、
また仕事をするのを繰り返す
すると突然ぴたっとその手を止める
アスカが机の引き出しからファイルを取り出し、机の横に置く
再びデスクワークに取り掛かるが、
特にそれを使って仕事をするというわけでもない
そしてすぐにパソコンの画面を消す
すると緒方がファイルを持ってやってくる
緒方 やっぱりここか。
明日香 え、ボードに地下室って書いたはずですが。
緒方 いや、見ずに来た。
明日香 資料、出来上がりました。
明日香がファイルを緒方に渡す
緒方 ありがとう、助かった。結構時間かかったでしょ?
明日香 はい、ちょうど今出来上がったところです。
緒方 おかげで午後の商談に間に合う。急な頼みで悪かったね。
明日香 いえ、緒方主任に頼られている気がしてむしろ嬉しかったです。
緒方 充分頼りにしているよ。一般職の子たちの中でも飛びぬけて仕事が速い上に正確。
明日香 そんな
緒方 ただ、こんな埃っぽい地下室を好むところは変わっているよね。
明日香 はぁ、まぁ。
緒方 静かだから仕事もはかどりそうだな。
明日香 ええ、まぁ、我がまま言って勝手に使わせてもらっているんですけど。
緒方 その辺は気にしなくていいから。寺井さんだって急ぎの仕事があるときにしか使っていな
いんだし。使用方法をわきまえているっていうのかな、ちゃんとしているから大丈夫。
明日香 ありがとうございます。
緒方 むしろこっちが無理に仕事を押し付けちゃってごめんね。
明日香 いえいえ!何か出来ることがあればいつでも仰ってください。
緒方 ありがとう。じゃ、お言葉に甘えてこっちもよろしく。
緒方がファイルを明日香に渡す
明日香 はい。商談、上手くいくといいですね。
緒方が明日香に笑顔で返事をし、そのまま去る
また明日香1人だけとなる
そしてまた黙々とデスクワークをし続ける
さきほど緒方から受け取ったファイルを見ながら手を動かす
再びぴたっと手の動きを止める
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