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ＧＨＯＳＴ　ＩＮ　ＴＨＥ　ＣＩＲＣＬＥ

　　　　　　　　舞台中央良く似た格好の二人が立っている。Ａ，Ｂ客席に向かって一礼。
Ａ　　　　ソープ。
Ｂ　　　　プラハ。
Ａ　　　　はと麦。
Ｂ　　　　牛乳。
Ａ　　　　 … う？
　　　　　　　　Ｂ首を横に振る。
Ｂ　　　　にゅう。
Ａ　　　　 … ？にゅう？
　　　　　　　　考え込むＡを見て得意げなＢ。
Ａ　　　　入学。
　　　　　　　　Ａ，Ｂ客席に向かって一礼。

　　　　　　　　暗転

　　　　　　　　舞台中央、無造作に置かれた椅子の一つにスエが座っている。スエの傍らにあるオルゴー
　　　　　　　　ルが淡々と曲を奏でている。やがてネジが終わり曲が終わるとスエは眼を明ける。そして
　　　　　　　　オルゴールを手に取りネジを巻く。オルゴール、再び鳴り出す。スエ、曲を聴いているが、　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　それも終わってしまう。もう一度ネジを巻き曲が始まるとスエは立ち上がる。
スエ　　ああ…はじまる。また、はじまる。
　　　　　　　　やがて外から人のざわめきが聞こえてくる。その声を聞き、スエは笑顔を浮かべ入り口に
　　　　　　　　向かい立ち上がる。まるで、そのざわめきを出迎えているようだ。そして、入り口の扉を
　　　　　　　　オズオズと開き，恵が入ってくる。
スエ　　　コンニチハ〜．
恵　　　　こ、こ、こんにちは！あ、あの。
スエ　　　あちき、末神。みんなスエって呼んでるの〜。
恵　　　　あ、スイマセン。あたし、今日からこの桜木寮にお世話になります、英文科Ｃの小林恵です！ど
　　　　　うぞよろしくお願いします！
　　　　　　　　恵、緊張のせいか、やたら力が入っている。
スエ　　　よろしく〜。
　　　　　　　　二人、暫し無言で立ち尽くす。
スエ　　　イス。
恵　　　　はい！ …はい？
　　　　　　　　スエの発音がおかしかったので恵は何を言っているのか分からなかったようだ。スエ、椅
　　　　　　　　子を指差す。
恵　　　　…あぁ、椅子！
スエ　　　椅子？
恵　　　　椅子。
スエ　　　空いてるよ〜。
恵　　　　…！あぁ、はい！スミマセン。
　　　　　　　二人、椅子に座る。スエは相変わらず笑っているが、恵は笑いながらもスエを伺いオドオド
　　　　　　　している。
恵　　　　あ、あの、あたし、緊張しちゃって…スイマセン。こんな都会に住むの初めてで・・
スエ　　　寮に入る子はみんなそうだよ〜。
恵　　　　そ、そうですね、スイマセン…
　　　　　　　突然、乱暴に扉を引き開け、しげっちが入ってくる。大股で顔を上げズカズカと入ってゆく
　　　　　　　彼女に、思わず立ち上がる恵とスエ。
しげっち　な―にー？このボロっちい寮はー。
　　　　　　　恵、挨拶しようと身構えるが、しげっちは構わず一番真ん中の椅子に座る。
しげっち　周りは住宅ばっかでなーんも無いし、一番近いコンビニでも歩きで十分もかかるのよー。おまけに見た？あの部屋！
　　　　　　　　隣に居た恵に詰め寄るしげっち、恵は圧倒され、竦くんでいる。そんな恵の反応も気にせ
　　　　　　　　ず勝手に話を続けるしげっち。
しげっち　畳よ！畳！信じられない！
　　　　　　　　話ながらしげっち、たばこを取り出し、ライターを探す、しかし見当たらない。イラ立ち
　　　　　　　　を隠さず恵に聞くしげっち。
しげっち　ねぇ、火ぃ持ってない？
恵　　　　あ、あ、あの、スイマセン！
しげっち　ちぇっ。
　　　　　　　手に持ったたばこを投げ捨てるしげっち、スエ、ニコニコしながら彼女の前に立つ。　　
スエ　　　ココ、禁煙なんだよ〜。

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