楽劇IWATOWAKE2011
「姉弟の神話」
【楽劇IWATOWAKE2011「姉弟の神話」】作:白神貴士

語り手
音楽
役者1
役者2

*黒子の形をした役者2名が面を付け替えながら演じる。

______________________

語り手
「天石戸別神(あまのいわとわけのかみ)、
 またの名を櫛石窓神(くしいわまどのかみ)、
 豊石窓神(とよいわまどのかみ)と言い、
 これは御門(ごもん)、御門(みかど)の神なり。
 邪神(じゃしん)、禍つ物(まがつもの)の入り来るを打ち払い、
 また黄泉比良坂(よもつひらさか)の故事の如く
 根の国とこの世を隔てるが役目。
 近世に至りて天皇(すめらぎ)を帝(みかど)と呼び奉るのも
 その第一の役目、同じたる為に非ずやと吾怪(われあや)しむ。」

役者1がスサノオの、役者2がアマテラスの面をつけて舞台両端に現れる。

語り手
「さて、根の国から戻ったイザナギが成した3人の子、
 太陽の女神アマテラスには、天高くそびえ神々の棲む高天原を、
 月の神ツクヨミには、暗い夜の世界を、
 暴風の神スサノオには、大海原を治めよとイザナギはお命じになりました。
 けれどスサノオは根の国の母が恋しいと海原を治めようともせず、
 大粒の涙の雨を大地に降らせて泣くばかり…とうとうイザナギも
 『おまえのような奴は出て行け!』と匙を投げました。」
 
泣いていたスサノオ、顔を上げ歩く仕草。

語り手
「スサノオは根の国に行く前に姉アマテラスに暇乞い(いとまごい)をと
 高天原目指して轟々と進んで行きました。」

アマテラス、これを見て戦の準備の仕草…

語り手
「弟があの様に荒々しく向かって来るのは
 この高天原を我が物にしようと思っての事だろう…
 女神は髪を解いて男の様に結い直すと、
 八尺(やさか)の曲玉(まがたま)を結び、
 背中には千本の矢、右手には弓を持って
 待ちかまえました。」

スサノオ、アマテラスの前へ立つ。
以降、セリフに沿った動きを。

語り手
「『命(みこと)、そちは何をする気だ!』と女神に叱られ、
 『何も…ただ、父に出て行けと怒られたので別れを告げに…』
 『悪心のない証拠は?』『互いに子を生んで証しましょう』
 地上からは黒雲が太陽を覆い隠そうとし、
 また太陽が黒雲からにじみ出ようとしている…とも見えたのはずです…
 女神は弟の十拳(とつか)の剣(つるぎ)を口に含み、
 スサノオはまた女神の結んだ八尺(やさか)の曲玉(まがたま)を…
1/3

面白いと思ったら、続きは全文ダウンロードで!
御利用機種 Windows Macintosh E-mail
E-mail送付希望の方は、アドレス御記入ください。

ホーム