開かずの美術準備室
登場人物(男1女1もしくは女2;米田は女性が声を当てても大丈夫です)
京子(きょうこ) 女(18)美術部部長 理事長の娘 おしとやかで上品な令嬢
米田(よねだ) 男(16)新聞部所属の一年生
※ ※ ※
1.美術室
京子「どうぞ、米田くん。紅茶しかないけど、よかったかしら?」
米田「ありがとうございます。京子先輩」
紅茶を飲む米田
米田「おいしいです!」
京子「(笑)ありがとう。今日はわたしの作品の取材でよかったかしら?」
米田「えぇ、先輩の彫刻なら、今年も大賞間違いなしって前評判なんです。それで、いろいろお話を聞けたらと思って」
京子「わたしはてっきり、学園の七不思議のことかと思ったのよ? 前にも取材が来たし……」
米田「生徒が消えるという美術準備室ですね。そっちは里美先輩が担当してました」
京子「あのかわいい子ね。この間、行方不明になったって聞いたわ……。残念ね」
米田「はい、先輩に憧れて新聞部に入ったので、早く先輩には帰ってきてほしいです」
京子「そう……。あ、取材だったわね。あの作品はね、とても素敵な出会いがもたらしてくれたの」
米田「それは、モデルのことですか?」
京子「そうなの。本当に素敵な人に出会ったのよ」
SE ノックの音
京子「はい……。ちょっと、待っていてね。多分先生だと思うから、長くなるかも……」
米田「はい」
あたりを見回す米田。
米田「きれいに片付いてるなぁ……。ほこり一つない。まるで、どこか別の場所で作ってるみたいだ……ん? あんなところに扉が」
扉を開く米田
SE ぎーっというドアの開閉音
2.京子のアトリエ
米田「(咳き込む)何だ? ここ……。彫刻がいっぱい。……うわっ! 痛ったぁ。なんだ? 彫刻の腕……? ひっ! うわぁぁぁぁ!」
腕を落とす米田
SE ものを落とす音
米田「なんだよ……これ、人の腕!? こ、これ、まさか全部中に人が……? 行方不明ってもしかして」
BGM 恐怖感をあおる感じのもの
京子「何、してるの?」
米田「京子、先輩……?」
京子「何してるのって、聞いてるのよ? わたしのアトリエで」
米田「先輩、これ人が中に……」
京子「わたしのモデル達、わたしの愛する作品達よ? きれいでしょう?」
米田「先輩、何を言っているのか分かってるんですか?」
京子「ええ。これは芸術よ? (笑)芸術には犠牲が必要なの。すぐれた作品にはそれだけ大きな犠牲が伴うものなのよ。……この女も言っていたっけ。すべて公にするって……」
米田「里美先輩!?」
京子「ひどい女だったわ。わたしから芸術を取り上げようとするんですもの。でも、たった一つだけ役に立ってくれた。それは、わたしの作品の最高のモデルだったってこと……」
米田「せんぱ……ガッ!」
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