NPOぷらざにようこそ
「NPOぷらざにようこそ」 作 結城 翼
★登場人物
光太郎・・・母親が痴呆症状を呈してきたので介護の相談にやってくる。
美津江・・・コンパニオン・アニマルを使った「癒し」のNPO化を申請にやってくる。
杉下君・・・NPOプラザ「ふれあい」の主任。おしゃべり。
町田さん・・NPOプラザ「ふれあい」常駐の民間アドバイザー。自信満々。
佐々木さん・ご近所の奥さん。気のいい人だが。
頼子・・・・ボランティア研修のために校外活動をしている高校2年生。結構鋭い批判力あり。
戸田裕子・・環境保護団体「大地の友」の宣伝に来たと自称。プラザに乱入する女子大生。目が座っているかもしれない。
吉本・・・・NPOプラザ「ふれあい」事務員。寡黙。
#1 オープニング
ジングルベルが鳴り響く、歳末。
2020年12月。某都市。
NPOプラザ「ふれあい」
壁には、「小さな一歩が心をつなぐ」「最初の一歩は小さい一歩」「地球にやさしい自助努力」「心がつなぐ人と人」
「日本を救う責任自助努力」「自己責任まずは火の元足の元」「頑張りましょう、あなたの努力が財政再建」「自立自立も自助努力」
「NPOまずその前に自助努力」「袖すりあうもNPO」「自立・独立・自己責任」「NPO、PEACEをのけるとNOと言い」
等という訳の分からない標語らしきものがぺたぺたと貼られている。しかも、それぞれご丁寧に「・・小学校3年池田花子」などと 金色の札が貼ってある。どうやら、校区の学校から募集したらしい。
事務机が三つあり、受付とある机を挟んで、杉下君と頼子が「申請ごっこ」をしている。
片方では、町田さんと美津江が話し込んでいる。
奥の方で、めがねをかけたまじめそうな吉本さんが何かコンピュータで作業をしている。
杉下君と頼子の会話はよくきくと結構不真面目で、町田さんがいらいらしているらしいのが見える。
杉下 :すると、総会の通知は、伝書鳩でするというの。
頼子 :はい。環境にやさしいですから。
杉下 :いや、やさしいのはいいけどね。定款にそう決めてるわけ。
頼子 :はい。かわいいですから鳩は。
杉下 :あれ結構悪食だよ。
頼子 :面食いなんですか。
杉下 :似たようなものだけど。まあ、総会の通知は伝書鳩で・・と。もちろん、全員に飛ばすんだよね。
頼子 :もちろんです。
杉下 :帰ってこないのもいるだろうね。
頼子 :欠席扱いです。
杉下 :なるほど。
頼子 :それに、花火打ち上げますから。
杉下 :なるほど、丁寧だねえ。
頼子 :万一の時は、のろしで連絡します。
杉下 :ますます、念が入ってるね。で、役員名簿だけど、理事が、犬、猿、雉だって。
頼子 :はい。動物ボランティアだからやはり、動物にも参加してもらわなきゃ、片手落ちだって言う人がいて、いけませんか。
杉下 :まあ、猿には文章読めないからねえ。それと、ここにある人もう死んでるんじゃない。
頼子 :ああ、ジョン・レノン。なんか感動したから、あの人の曲。
杉下 :それ、趣味だろ。
頼子 :のようなものです。
杉下 :生きてる人にしないとね。ここ再考の余地ありね。それと、就任承諾書っているんだよ。勝手に、理事にされちゃかなわないからね。これ、嘘でしょ。
頼子 :あ、ばれました。
杉下 :ばればれだよ。何でキムタクがあるの。それに、これサインのコピーでしょ。
頼子 :すみません。なんか、かっこいいかなって。若い人集まりそうだと思いません。
杉下 :そりゃ、来るだろうけどね。あ、何これ。
頼子 :何ですか。
杉下 :役員の住所の証明書。住民票とかさあ無かったの。これ、名刺にプリクラ貼ってるだけじゃない。
頼子 :えー、でも、なかなかこのプリクラないんですよー。レアものなんだから。
杉下 :レアでもミディアムでもだめなの。おーっと、すごいねーこれ。忠臣蔵かい、これ、連判状だよこれじゃ。
頼子 :特定非営利活動促進法第20条各号に該当しないこと及び、同法第、えーと、えーと。
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