癒されない女(2人バージョン)
癒されない女(ひと)
息吹肇
《登場人物》
トモカ
ミカ
アナウンサー(声)
明かりが入ると、そこはトモカの部屋。
中央に小さなテーブル。
その周りにクッションが転がり、CDラジカセが置いてある。
テーブルの上には空の花瓶。そしてケーキと、プレゼントとおぼしき箱がのっている。
エプロンを付けたミカがシャンパンの瓶とグラスを持って登場。
テーブルの上に置くと、ケーキとプレゼントの箱をテーブルの下に隠す。
一度引っ込むと、再び今度は花を持って登場。花瓶に挿す。
そして、花瓶の位置やクッションを直す。
ミカ これでよし、と。あとは、いつもの奴だな。
鼻歌交じりに引っ込むと、縫いぐるみを持って登場。クッションの横に置く。
机の上の携帯が鳴る。
ミカが出る。
ミカ はい。ああ、もう着いたんだ。結構早かったね。…だって、ここんとこずっと遅かったじゃない。ううん、嬉しいの、早く帰ってきてくれて。だって、今日は特別な日でしょ?…えっ?それは内緒。帰ってきてからのお楽しみね。…あ、そうなんだ。私にも何かプレゼントとかある?…冗談よ、言ってみただけ。…うん、大丈夫。もう用意できてるから。とにかく真っ直ぐ帰ってきてね。待ってるから。じゃ。
ミカ、携帯を切る。
ミカ 残業なかったのかな、あの人。でも、買い物なんて、結構ストレス溜まっちゃったのかな。いかん、いかん。しっかりやらないと。
ミカ,置いてあった何枚かのCDから一枚を選び出し、CDラジカセに入れる。
流れ出すのは、「癒し系」の音楽。
ドアが開き、そして閉まる音がする。
トモカ(声) ただいま。
ミカ お帰り。早かったね。
ミカ,さっきとは反対方向に去る。
トモカ(声) ここ、駅から近いのだけが取り柄じゃん。
ミカ、大きな袋を抱えて戻ってくる。
ミカ 随分買い込んだね。
トモカ(声) だって久々だったからさ、定時にあがれたの。
ミカ そうだよね。
トモカ(声) 久々にあの店行ったらさ、結構いろいろあってたのよ。で、ついついね。
ミカ (袋の中を覗いて)あ、またアロマオイル。よっぽど好きなのね。
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