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ケーキ屋の憂鬱

ケーキ屋の憂鬱
　
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　水野（女・ケーキ屋のアルバイト店員）
　
　松永（女・ケーキ屋の社員）
　
　村瀬（男・ケーキ屋の常連客）
　
　
　　ケーキ屋の店内
　　水野、カウンターでぼーっとしている
　
　水野：はあ……。
　
　　松永、奥の部屋から出てくる
　
　松永：お疲れ様、水野さん。
　水野：あっ、松永さん！　べ、別にサボってませんよ！
　松永：まだ何も言ってないんだけど……。
　水野：お、お疲れ様です！
　松永：うんうん。いつも元気があって良いわねえ。
　水野：そうですか？
　松永：いつも一生懸命なのは、あなたの良いところよ。
　水野：あ、ありがとうございます！
　松永：でも、限度ってものがあるわねえ。
　水野：え。
　松永：表のお花、お水やってくれたでしょ？
　水野：あ、はい。開店前に……。
　松永：そうよね、うん。
　水野：あの、どうかしましたか？
　松永：いや、あれはちょっとねえ。その……
　　　：お花たち、溺れちゃってたから。
　水野：えええっ！　う、嘘！？
　松永：今日は特に気合い入ってたわねー。
　水野：す、すみません！
　松永：あと、お店ののぼり。
　水野：はい、それも開店前に。
　松永：逆に刺さってたわ。あれじゃあ、読めない。
　水野：えええっ！　どうして！？
　松永：ショーケースも拭いてくれてたわね。
　水野：……。（聞くのが怖い素振り）
　松永：ちゃんと絞らないと駄目よ。べちゃべちゃになるから。
　水野：いやあああああ！
　
　　水野、頭を抱える
　
　松永：大丈夫？
　水野：ううう……。
　松永：何かあったの？　最近こういうの多いけど。
　水野：えっ！　そ、そうですかね。
　松永：あなた、失敗は多いけど、仕事は熱心じゃない？
　　　：でも、最近ぼーっとしてることが多いから気になって。
　水野：そんなにひどいですか、私。
　松永：ええ。
　水野：実は……。私、考え事始めたら、周りが全然見えなくなるんです。
　松永：考え事？
　水野：はい。だから、普段はなるべくものを考えずに生きてます。
　松永：いや、それもどうかと思うけど……。

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