スーパーヒート!
「スーパーヒート!」
A 自由研究課題のレポートもうやった?
B え、なにそれ?
A おいおい、課題出たじゃん。忘れたのかよ。
B あー、そういえばそういうのもあったなあ・・・
おまえ、もうやったの?
A うん。もうだいたい終わってる。
B マジかよー。かんぜんっに忘れてた・・・
え、テーマは何で書いたの?
A スーパーヒート。
B すーぱーひーと?
A 知らない? 金属の凝固温度と溶融金属との温度差のことだよ。
B 知らねえ〜。なにそれ、天才か。
A 天才じゃねえよ。
だからさ、たとえば鉄鋼の製造において、連続鋳造法だったら、溶鋼を取鍋(とりべ)からタンディッシュに移して、タンディッシュからモールドに注ぐじゃん?
B ・・・・・・。
A そのときのタンディッシュ内の鋳造温度と凝固温度の差がスーパーヒートなんだよ。
B ・・・ごめん、1ミリもわからない。
A あれー? 説明わかりづらかった?
B いや、それ以前にそんなこと知らないから。
やめてよ、そんな常識みたいな言い方するの・・・。
用語の意味がまるでわからない・・・。
ていうかお前はなんで知ってるんだよ。難しすぎだろ。
A そうかな? 普通だよ。
B 出た。普通。お前の普通とな、世間の普通が同じと思うなよな!
A はいはい。
B あー、それにしてもやばいな。
テーマすら考えてないもんな。
よし、カブトムシの飼育日記でも書くか。
A 小学生か! お前はもうちょっとがんばれよ。
そもそもカブトムシとか飼ってるの?
B 飼ってない。買って来なきゃ。
A そっからか。
お前も塑性加工の打ち抜きにおけるクリアランスの正負が製品のバリにどのような影響を与えるのかについて、くらいのレポート書いてみろよ。
B ・・・はあっ? 天才か。
A 天才じゃねえよ。
B お前の常識と世間の常識は違うかんな。
え、レポートはなんについて書くって言ってたっけ?
A ああ、スーパーヒートだよ。
B スーパーヒート。なんかかっこいいな。
A そうか?
B なんか、少年マンガ心を揺さぶるようなワードだ。
A なんだその少年マンガごころって。
B、熱く叫ぶ。
B「スーパーヒートっ!!!!」 ・・・やべえ、かっこいい。
A かっこいいか?
B だって、スーパーヒートだぜ? めっちゃかっこいいじゃん!
「見せてみろよ。お前のスーパーヒートを!」
かっけー!
A なんだその少年マンガ的なノリは。
スーパーヒートってなに? 技なの?
B 技いいね!
A 技じゃなかったのか。
B 「くらえ、スーパーヒートっ!」
A お、なんかの技っぽくなった。
B 「スーパーヒートに、俺はなる!」
A 海賊じゃねえんだから。
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