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リフトオフ！

「リフトオフ！」　原作：雨霧颯太　脚本・脚色：牧真一

登場人物

（合計：5〜8人台本　男3　女2 メイン：男１、女１　サブ：男２、女1　モブ3）

メインキャスト
袴田（20）　主人公　大学二年生
瑞穂（21）　月浜工業大学三年ロケット部部長気の強い女子大生

サブキャスト
マスター（38）　兎屋珈琲店マスター　包容力ある大人の男性
悠（17）　兎屋珈琲店の常連客　女子高生瑞穂にあこがれている
弥富（20）　大学二年生ロケット部所属　袴田の友人

モブキャラクター
部員A
部員B
商工会長

◇◆◇

袴田「よし、あとちょっとで、基盤が完成だ……」

　　　SE　ジジっという配線が焼ける音

瑞穂「こら！　袴田！」
袴田「うわっ！　……もう、後ろから大声出さないでくださいよ。危ないじゃないですか。部長」
瑞穂「いつまで作業かかっているのよ！　観測装置がないと、ロケットは完成しないのよ！　来月の打ち上げまで、日がないって言うのに」
袴田「（M）部長が指差した先には、三メートルほどの先端のないロケットが横たわっていた。俺たち、月浜工業大学ロケット部は毎年九月の終わりに、月見浜で観測用のロケットを打ち上げている。ロケットと言っても、宇宙まで飛びはしない。せいぜい、数百メートル上まで飛んで、月見浜の上空写真を撮影する程度の代物だ。とはいえ、俺たちの一年間に及ぶ研究と努力の成果が試される、ロケット部最大のイベントだった」
袴田「来週には間に合わせますよ。ちょっと部品が手に入らなかったんで……」

　　　SE　ジジっという配線が焼ける音

袴田「……それにしても、部長。その性格直さないと、男なんてできませんよ」
瑞穂「う、うるさい！」

　　　SE　げんこつが落ちる音
　　
袴田「痛っ！　あ、はんだごて！」

　　　SE　道具が落ちる音
　　　SE　ジジっという配線が焼ける音

袴田「あーっ！　俺の基盤……あ、あぁ……もう、めちゃくちゃだ。（うらめしそうに）部長ぉ……」

　　　SE　ジジっという配線が焼ける音
　
瑞穂「（ごまかすように）あはは……。気をつけなきゃ、だめだぞ。袴田君。んじゃ、私はバイトがあるので、行くわね。さよーならー」

　　　SE　走る音
　　　SE　ドアの開閉音

部員A「逃げた」
部員B「逃げたな」
　　　
　　　SE　ジジっという配線が焼ける音

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