ヌケッ

「ヌケッ」


  刀を持った男2。しきりに男1に刀を抜けと迫る。
  しかし男1は「ぬく」を別の意味でとったようだ。

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  男1が下手から歩いている。

  男2が上手から現れる。
  腰には刀を下げている。(実際に刀を持っているわけではなく、パントマイム)
  男2、刀に手をかける。

男2「おい貴様、抜け」
男1「?」
男2「抜け」
男1「え・・・?」
男2「いいから抜け!」

  男1、自分の股間を見て、恥ずかしそうに困った顔で、

男1「・・・・・・え・・・ここで?」
男2「そうだ。さあ、抜けっ」
男1「いや、急に言われても・・・」
男2「すぐに抜けっ」
男1「いや、いくら俺が速いからってそんなすぐには・・・って違うっ!」
男2「貴様、ふざけているのか?」
男1「ふざけてるのはあんたのほうだろ!?」
男2「さあ抜け! 今すぐに、さあ!」
男1「・・・そんなに言うんだったら『おかず』くれよ!」
男2「貴様、こんなときに飯を食うつもりか!?」
男1「こんなところで『ぬけ』って言う方が無茶だろ!」
男2「ふんっ、抜けんというのなら私が手伝ってやろう」
男1「なんであんたに手伝われなきゃならんのだ!」
男2「だったら一人で抜け!」
男1「ぬくときはそりゃ一人でしょうよ」
男2「ならば、私から抜くぞ・・・」
男1「えっ!? あんた、抜いちゃうのっ!?」
男2「抜かぬと話にならんではないか」
男1「こんなところで? 外だよ?」
男2「なに? 貴様は屋内でやりたいというのか? 変わった奴だな」
男1「あんたこそ、外で何やる気だ! 変わってるっていうか、ヘンタイだよ!」
男2「早く出さぬか!」
男1「出さねえよ! 何を出すんだよ!」
男2「決まっておるだろう。貴様の刀だ」

  男1、股間を抑えながら、

男1「出さねえよ! 嫌だよ! なんであんたに見せなきゃいけないんだよ!」
男2「行かぬなら、私から行くぞ!」
男1「もう『イク』の? いっちゃうの? はやくね?」
男2「行くぞ!」
男1「待って!」
男2「行くぞ!」
男1「ダメ!」
男2「抜くぞ!」
男1「嫌!」
男2「こんなときに抜かずして、いつ抜くというのだ。貴様のそれはナマクラか?」
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