それはそれぞれの思惑と関係
それはそれぞれの思惑と関係
照明がつく。
男女が合わせて10人いる。
そして、もう一人。
私
「学園祭前、コスプレをして盛り上がる男女。
男の一人は、女装をして、一同を沸かせた。
別の男子の一人が女装をした彼の胸に詰め物をして巨乳にしようとする。
男子ははやしたて、女子は若干一線を引く様子を表面上は見せつつも互いに笑みを漏らしその場を楽しんでいた。
ほどなくして、彼の豊胸手術は完了し、美女──とはお世辞にも言い難いが、豊満で淫靡な肢体を持ち合わせた一つの造型が誕生した。
男子たちが巨きな乳の周りを取り囲み、饗宴を催している中、男子の一人が言った」
秀介「沙美がつけた方がいいんじゃねえの?」
私
「沙美は胸が小さい。
それが例え事実だったとしても、それを公然とのたまった彼の言動は果たして正しいのだろうか。
さて、ここで彼らの関係性について考えてみよう。
秀介と沙美の関係性についてである。
女子の体型について、とりわけ胸の大きさについて言及することは、一般的には非常識的である。
また、それはセクシャルハラスメントなり得る可能性を十分に秘めている。
否、実際にはセクハラなのであろう。
女性に対して、そのような発言をした場合、これは性的ないやがらせと認めざるを得ないだろう。
しかしである。発言一つをとっても、それぞれの人間の関係性によっては、これはセクハラとは成り得ないのではないだろうか。
例えば、彼らが恋人同士であったとしよう。そんな彼らが、」
秀介「お前、胸けっこう大きいよな」
沙美「そんなことないもん」
私
「などという会話をしたとしても、これは犯罪にはなり得ない。
感じ方は人それぞれであるが、あるいは恋人同士とはいえこのような言動によって女性側が不快に思う場合もあるかもしれない。
だがそれでも恋人同士であればそれは『受け入れられる』事象であると言えないだろうか?
しかしだ、これが学校の先生と生徒だったらどうだ?」
先生っぽい人が現れる。
先生「お前、胸けっこう大きいよな」
沙美「え・・・やめてください」
私
「この場合はどうだ。
訴えられたらおそらくこの男は負けるだろう。
すなわちこれは、犯罪であると」
先生っぽい人、去る。
私
「すなわち、セクハラが成立するのはあくまでも、被害者側の気持ち、言葉の受け取り方に起因するといった話である。
ここで重要になってくるのはそれぞれの関係性だ。
二人の仲が良いのであれば、彼らの発言は『冗談』で済まされるのであろう。
しかし、そこまでの関係性が築かれていないのにそういった発言をすることは、悪質な『悪い冗談』である。
閑話休題。
話を元に戻そう。彼らのやり取りをもう一度見てみよう。
男の一人が女装をし、胸に詰め物をして巨乳となる。
その様子を見て、彼、秀介はこんなことを言った」
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