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Frosty Rain

Frosty Rain

登場人物

浩介（こうすけ）：フリーター。元医者。
　　　　　　　　　都内のマンションに住んでいる。
咲希（さき）：浩介の恋人。
充（みつる）：医者。浩介の友人。

　浩介のマンション
　雨が降っている
　咲希、窓際で雨を気にしている
　浩介、２人分のコーヒーを持ってくる

浩介：はい。
咲希：ありがと。
浩介：あんまり美味しくないかも。
咲希：いいよ。
浩介：ここのとこ、ずっと雨だね。
咲希：ただでさえ寒いのに、嫌になるな。
浩介：咲希、寒いの駄目だもんね。
咲希：うん、駄目。もー、寒いの無理。
浩介：俺は全然大丈夫だけどな。冬、大好きだよ。
咲希：えー、どこが？
浩介：冬が好きっていうか、単に夏が嫌いなだけか。
　　：寒さには滅法強いよ、俺。
咲希：ふうん、冷めた男。
浩介：それは関係ないでしょ。
咲希：そんなだから無愛想だの根暗だの言われちゃうのよ。
浩介：言われてないし。誰だよ、それ言ってるの。
咲希：さあ？
浩介：咲希こそ、冬生まれなのに寒いの無理って、おかしいね。
咲希：偏見極まれり。私はね、心が暖かいの。
　　：浩介と違ってね。
浩介：無茶苦茶言うなあ……。
咲希：文句ある？
浩介：いや、ないけど。
咲希：……。
浩介：コーヒー、飲まないの？　冷めちゃうよ。
咲希：いらない。
浩介：……テレビでも観る？
咲希：好きにすれば。
浩介：あの、咲希さん。何故そんなに不機嫌なのでしょうか。
咲希：あーら、私は全然、いつも通りですことよ？
浩介：うん。笑顔が怖い。
咲希：失礼ね。それ、彼女に対しての言い草かしらあ？
浩介：何そのキャラ。どう反応すればいいの、これ。
咲希：浩介って、無愛想で根暗な上に、薄情ね。
浩介：薄情。
咲希：何でもない、独り言。
浩介：うーん。……あ、今日、充が来るって言ったよね。
咲希：ミツくん？　聞いてないよ。
浩介：あれ、言ってなかった？　ごめん、うっかりしてた。
咲希：何の用事？
浩介：さあ、長居はしないって言ってたけど。
咲希：久しく会ってないなあ。元気してる？
浩介：ああ、ピンピンしてるよ。体だけは昔から丈夫だから。
咲希：そうだったね。
浩介：なんたって、鉄人ミッちゃんだから。
咲希：何それ、可愛いじゃん。

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