そばにイタイ


そばにイタイ


ノボ         …気味悪がられてる人間。
53(ごじゅうさん) …痛みを感じない体のため、学校の子に虐められている。
1(いち)      …53を嫌うグループのリーダー。男の子。
2(にぃ)      …自己中心的で暴力的。男の子。
3(さん)      …冷静沈着だがたまに残酷。女の子。
4(しい)      …本当は53と仲良くなりたいと思ってる男の子。
母          …53の母親。一人で53を育ててきた。父親は行方不明。
話屋         …物語を進めていく語り手。
その他、エキストラ3〜15人




不思議で不気味な音楽が流れ、幕が開く。
そこに広がるのは暗闇(引き割りが閉まってる)。
ひとつの光が照らすのは、あくびをしている青年。


話屋  「…? あぁ、すまない。
     …珍しいな、お客さんだなんて。今日はどんなものを?
     …はぁはぁ、…ふぅん、ほぉ。え〜っとですね、はい。
     交番ならここを真直ぐ、突き当りを左です。はい、はい、では気をつけて…じゃなくて!
     お客さん!冗談きついよ!話を買いにきたわけじゃないの!?
     …あぁ、道を聞きにきただけか、はいはい、じゃあ気をつけて…と、み せ か け て!!!!!!
     お客さん、これも何かの縁だ。ひとつだけでいい。話を買っていかないか?
     …そう!ここは話屋!話を売って…えー…っと…あ!三年と二ヶ月と十日!
     この私が夢と感動を与えよう!…と、売り文句はそこらへんにしといて。
     頼む!ひとつだけでもいいんだ!話を買ってくれないか!?
     ここんとこ不景気で、どうも売れ行きが悪いんだ…一時間だけでいい!
     …あ、じゃあ三十分!…いやいや五分!…OK!?OK!?
     よっしゃぁぁ!あ、はい、すぐします。はい。今すぐ。
     (咳払い)村人の噂によると、そいつは山からおりてきたらしい。
     人間なのか、生きているのかも定かでないそいつは先日、
     山をおりて、とある村の街頭の下、腰を下ろした。
     それから全く、動かない。
     真っ黒な布をまとい、目だけが不気味に光るそいつが村におりてきた目的とは…。」


すると突然、サスの中へ飛び込んでくる少女。曲が止まる。


53  「何のお話?」

話屋  「びっくりしたー…なんだ、お前か。」

53  「何のお話?」

話屋  「この子がこの物語の主人公、皆からは53と呼ばれている。」

53  「そうよ、私53よ!…ねぇねぇ、何のお話してたの?ねぇ!」

話屋  「見ればわかるよ…。」

53  「何を?」

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