僕の話を聞いてくれ!
僕の話を聞いてくれ!
僕 …演劇部員の女子高生。
不思議な音楽と共に、幕が開く。
真っ暗な舞台。
そして、ひとつの光が『僕』を照らす。
僕 「僕は演劇部の高校2年。今日は公演の本番当日だ!でも何も用意できなかった。
だから今から何ができることがないかなーって、僕は頑張って探したんだ。
で、見つけたんだ!僕の話をすればいいんだ!僕が僕の話をすればいいんだ!
最近僕が考えてることはね!本当の言葉って何だろうって。
これ、話してると長くなっちゃうんだけどね、
あ、いや。長い話しなきゃ1時間もたないからするけどね、僕。
言葉には『表』と『裏』があるんだ。
どういう意味かって言うと、例えば、近所のおばさんに『こんにちは!』って言う。
でも心の中では『また酷い格好だな…
え?ピンクのコートにエメラルドグリーンとブラウンのストライプのロングスカート?!趣味わるーっ!』
…って思ったり。
例えば、『好きです!付き合ってください!』の告白の時。
でも心の中では『これじゃ本当は言い足りないんです!付き合ってください!デートしてください!
愛してるって言ってください!キスしてください! …(音響《ピーッ》)…。』
…って思ってたり。
皆間逆のことを口にしたり程度をおさえて口にしたり、
笑いたくも無いのに誰かに合わせて笑ったり、泣きたくも無いのに誰かに合わせて泣いたり…
…だったら、本当の言葉ってなんだ?真実ってなんだ?
いくらでも嘘のつけるこの口から、真実が出てくるなんで僕は思えないよ。
もう…思えないんだよ…。」
頭を抱える『僕』
少し立ったら、急に顔を上げて
僕 「だから僕は思うんだ。
皆演技をしてるんだ!そうだ、演技をしてるんだ!
自分の思ってる言葉じゃない言葉をまるで自分の言葉のように言う。
まさに演劇じゃないか!皆演技をしてるんだ!
…あの…あの感覚だ…
演劇を見てると、たまにあるあの感覚だ…
これはあの人自身の言葉なんだ。あれは演技なんかじゃない。あれはあの人自身なんだ!」
不気味な笑みを浮かべながら、言葉を続ける。
僕 「…あの感覚だ…騙されてるんだ…僕は騙されているんだ…。
騙されてる…あはは…僕は騙されてたんだ…あの時のかくれんぼだってそうだ…あの時だって!」
急に夕日が広がる。
僕、小学2、3年生の私になる。
僕 「1、2、3、4、5、6、7、8、9、10!もういいかーい!」
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