告白
「告白」
作 塚町幸憲
登場人物
章
浩子
暗闇の中、喪服姿の男女。
手には手紙を持っている。
女にスポット。女(浩子)、手紙を読み始める。
浩子 松本章様。突然のお手紙でごめんなさい。私は4組の斉藤浩子といいます。実は以前から松本君とお話がしたいと思っていて・・・思い切って手紙を書きました。もし良かったら、友達になってくれませんか?
お返事待ってます。斉藤浩子。
男にもスポット。男(章)、手紙を読み始める。
章 お手紙ありがとう。女の子から手紙をもらうなんて初めてなので、ちょっと舞い上がってます。僕なんかで良かったら喜んで。こちらこそヨロシク。
浩子 お返事ありがとうございます。すごくうれしかったです。これからどうぞ宜しくお願いします。前の手紙で全く自己紹介してなかった事に気づいて、あれじゃ返事もらえないなって落ち込んでたんです・・。私、松本君と同じで双子の妹がいます。松本君と違って学校は別々ですが。双子の話とかできたらいいなって思います。
章 斉藤さんも双子なんですか。奇遇ですね。双子にしか分からない気持ちとかありますよね。またお話しましょう。
二人、手紙をしまう。
舞台、地明かり。
そこは二人の住まい。
浩子 あ〜、つかれた〜。
章 お疲れ様。
浩子 もう、章ったら男の人たちで盛り上がってて、ちっともこっちのフォローしてくれないんだもん。大変だったんだから。
章 ごめんごめん。でも、準備や片付けはおふくろがあらかたやってただろう?
浩子 だから気を使うんじゃない。お母さんがあんなに動いていたら、私だってぼーっとしてるわけにいかないでしょ?お姉さんの目もあるし。
章 おふくろは好きでやってるんだから、まかせておけばいいんだよ。
浩子 そういうわけにはいかないわよ。それに・・・
章 それに?
浩子 好きでやってらっしゃるのがわかるだけに、仕事の手の出し方が難しいの。結構、気を使うんだから。
章 そんなもんかねぇ。
浩子 そういうもんなの。
章 女の世界は大変だねぇ。
浩子 そうよ。だから次のときはちゃんとフォローしてよね。
章 大丈夫だよ。浩子は大丈夫。
浩子 なによ、それ。
章 おふくろも姉さんも褒めてたよ。「浩子さんはよく気がつくから助かる」ってさ。
浩子 え?いつ?
章 浩子がトイレに行ってたときだったかな。
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